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特集

鎮圧から見た畑用ハローのいろいろ
ハロー作業時の「鎮圧」が発芽率を左右する

前号の「女化通信」で、高松氏が使った鎮圧ハローの効果について紹介した。播種時期は7月末、夏真っ盛りの乾燥時期にニンジンのコーティング種子を無濯水で播種し、控え目に見ても90%程度の発芽をしたと報告した。この時期の関東のニンジン播種はテープシーダを使い、一濯水をすることが良好な発芽を求める条件のようにいわれている。しかし、われわれは現在の砕土・整地作業での過剰な砕土と土壌の膨軟化が種子の発芽条件を悪いものにしているのではないかと考えた。プラウ耕を前提に、砕土整地においては「鎮圧」をすることで、ニンジンの発芽率向上が図れないかを試してみたわけだ。それをとおして、過剰砕土や過剰な土壌膨軟化の弊害を推測できないかと考えた。
 前号の「女化通信」で、高松氏が使った鎮圧ハローの効果について紹介した。播種時期は7月末、夏真っ盛りの乾燥時期にニンジンのコーティング種子を無濯水で播種し、控え目に見ても90%程度の発芽をしたと報告した。

 この時期の関東のニンジン播種はテープシーダを使い、一濯水をすることが良好な発芽を求める条件のようにいわれている。しかし、われわれは現在の砕土・整地作業での過剰な砕土と土壌の膨軟化が種子の発芽条件を悪いものにしているのではないかと考えた。プラウ耕を前提に、砕土整地においては「鎮圧」をすることで、ニンジンの発芽率向上が図れないかを試してみたわけだ。それをとおして、過剰砕土や過剰な土壌膨軟化の弊害を推測できないかと考えた。

 その効果は前号で紹介したが、その理屈はおおむねこんなことではないだろうか。

 過剰に砕土され、過剰膨軟な状態の圃場は、乾けばカラカラで雨が降れば一気にドロドロの過湿の圃場状態になる。また、日照りが続けば毛菅現象によって表層に水分が移動し、それに伴い表層の肥料濃度やpHも種子の発芽にとっては不適な異常数値になる。

 しかし「鎮圧」をすることにより作土層に均一に水分を分布させ、作上層が日照りや降雨の影響を受けにくくなり、それによる作土層の化学性の変化も軽減できる。

 「砕土・整地」作業というが、実際は同時に行われるべき「鎮圧」こそが土壌中の水分や化学性を適正に維持させていくために大きな意味を持っている。「鎮圧」は、とりわけ種子を適正に発芽、成長させるために、もっと意識されなければならない作業なのではないだろうか。

 砕土率を高め、フワフワの蒲団の様な播種床にしてやる方が種子の発芽には良いように思いがちである。しかし、手で種を播いていた時代、播種前であれ、播種後であれ、播種床を足で踏むという動作が播種作業の一貫としてあったことを思い出していただきたい。昔の人は、経験の中でそれで種子の発芽が良くなることを知っていたからであろう。その時の足で踏む踏圧の大きさを考えてみればよい。60~70kgの体重を小さな足の裏で支えるのであるから、それは決して小さなものではない。それに比べれば、現在の播種機に付いている鎮圧ローラでの踏圧など、赤ちゃんの踏み跡のようなものではないのだろうか。

 ロータリの普及は土壌の砕土率を高めるという目的には有効なものであるが、その半面で、過剰な砕土や過剰な土壌膨軟化をもたらしているのではあるまいか。また、機械化作業になることでわれわれは、昔の人がやっていた播種床を踏む動作(鎮圧)の意味を見失ってしまっているのではないか。

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