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【耕すということ】
土層・土壌改良雑感(1)
- 農学博士 村井信仁
- 第19回 1996年10月01日
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近年、大型トラクタが普及し、踏圧による土壌の硬化がはげしい。高密層の形成が排水性を悪化させているといった論文を見ることがある。しかし、大型トラクタが圧密層を形成することは確かであるが、この内容を考えてみる必要があろう。
たとえば、それでは畜力時代、あるいは人力時代にまったく圧密層を形成しなかったかといえば決してそうではない。踏圧による土壌硬化は、その作業体の接地圧と作業の頻度によって発生するものであり、その程度は土質や土壌水分、耕起深などによって異なると考えればよい。
人間はトラクタより軽いから踏圧による土壌硬化は少ないと考えてはいけない。大人の足の大きさと体重から計算すると、靴を履いた接地圧は1cm2当り0.35kg前後である。これに歩く動圧が加わるとしばしば倍以上になることがある。これは、ホイールトラクタよりは小さい値であるが、クローラトラクタより大きい値である。作業のために何遍も圃場を歩くと、むしろその頻度から見てトラクタよりも圃場を固めてしまう結果となってしまう。 畜力とて同じことである。馬の場合は、ホイールトラクタと同じくらいの接地圧であるが、大きなけん引力を出すために踏ん張りをくれると、ホイールトラクタを超えることになる。
踏圧の影響深度は土質や土壌水分などによって異なるが、一般的には25回程度と考えてよいであろう。表層部が硬く踏み固められ、下層部が軟らかい。
人力や畜力では力に限界があり、あまり深く耕起することができない。せいぜい10cm程度である。とすると、硬い層が10cm下に残ることになる。毎年、同じ深さに耕起されると、やがて硬質層を形成する。
これが始末が悪い。10cm位の浅い層に位置するために柔軟性がまるでなく、硬化を加速するのである。トラクタの力による耕起と比較してみよう。トラクタの力で25cm以上深く耕起すると、人工的に踏み固めた層はほとんどすべてが軟らかくなり、硬盤層を形成することはない。しかも、耕起した部分は厚い柔軟構造であるから、クフンヨンの役割で、上から踏みつけても硬化の程度は少ないのである。トラクタは図体が大きくとも、実は人力や畜力よりも硬盤層を作っていないことになる。
「摯底盤」は人力・畜力時代から
たとえば、それでは畜力時代、あるいは人力時代にまったく圧密層を形成しなかったかといえば決してそうではない。踏圧による土壌硬化は、その作業体の接地圧と作業の頻度によって発生するものであり、その程度は土質や土壌水分、耕起深などによって異なると考えればよい。
人間はトラクタより軽いから踏圧による土壌硬化は少ないと考えてはいけない。大人の足の大きさと体重から計算すると、靴を履いた接地圧は1cm2当り0.35kg前後である。これに歩く動圧が加わるとしばしば倍以上になることがある。これは、ホイールトラクタよりは小さい値であるが、クローラトラクタより大きい値である。作業のために何遍も圃場を歩くと、むしろその頻度から見てトラクタよりも圃場を固めてしまう結果となってしまう。 畜力とて同じことである。馬の場合は、ホイールトラクタと同じくらいの接地圧であるが、大きなけん引力を出すために踏ん張りをくれると、ホイールトラクタを超えることになる。
踏圧の影響深度は土質や土壌水分などによって異なるが、一般的には25回程度と考えてよいであろう。表層部が硬く踏み固められ、下層部が軟らかい。
人力や畜力では力に限界があり、あまり深く耕起することができない。せいぜい10cm程度である。とすると、硬い層が10cm下に残ることになる。毎年、同じ深さに耕起されると、やがて硬質層を形成する。
これが始末が悪い。10cm位の浅い層に位置するために柔軟性がまるでなく、硬化を加速するのである。トラクタの力による耕起と比較してみよう。トラクタの力で25cm以上深く耕起すると、人工的に踏み固めた層はほとんどすべてが軟らかくなり、硬盤層を形成することはない。しかも、耕起した部分は厚い柔軟構造であるから、クフンヨンの役割で、上から踏みつけても硬化の程度は少ないのである。トラクタは図体が大きくとも、実は人力や畜力よりも硬盤層を作っていないことになる。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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