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「犂底盤」、あるいは今の「ロータリ耕底盤」を砕くにはそれなりの工夫が要るものである。なぜなら、浅い位置に形成された硬盤は硬いだけのことではなく、土質が異なっているからである。降雨によるものと考えられているが、硬盤の組成はシルト質が多いのである。滞水時間が長いのでシルトが下方に移動し、堆積したものであろう。そのことが余計に排水性を不良にしているといえる。
硬盤層を砕くことはそう難しくはない。サブソイラなどを用いることで容易である。しかし、それだけでは問題は解決しない。砕くだけではシルト質が多いだけにすぐにまた硬化するからである。破砕効果を持続させようとすると、上下の土壌と混和し、土質を調和させるなどの工夫がなければならない。
耕土改善事業の当初は、北海道では心土耕プラウが主流であった。それは、北海道の土壌の多くは、「犂底盤」が劣悪であったためである。ほとんど例外なく、燐酸吸収係数が大きいとか、酸性土壌であるなどである。急激に深耕すると不良上が作土に混入するため、豆類などは生育が劣り、収量も激減する結果となる。
心土耕プラウであれば、作土の耕起深は従来と同じでよく、「犂底盤」は付随するサブソイラで破砕するものであり、深耕の目的を達しながら、作土の化学性を悪化させるものではなかった。
サブソイラにはいろんな工夫が施された。「犂底盤」を破砕することが主目的であり、下層上をあまり作土に混入させてはならない。一方、破砕の持続性を高めようとすると、単純な破砕では満足できず、けん引抵抗を少なくすることも含めていろんな形状の研究が行なわれた。
しかし、サブソイラに工夫があっても、心土耕プラウでいつまでも満足できるものではない。深耕によって排水性は良好になっても、下層土の化学性が改善されない限り、根が下層に伸びることは少なく、土づくりとしては中途半端であるからである。
そんなことから、下層土の化学性を矯正してしまえば、それは層の厚い作土作りであり、次回からワンボトムで深耕混層することも可能である。それが本質的な土作りではないかと考えられるようになった。
そこで考え出されたのが心土肥培耕プラウである?心土耕プラウの上に土壌改良資材のタンクを乗せ、プラウインクと同時に心土に燐酸や石灰を供給すれば、劣悪な下層土の化学生は矯正できるとしたものである。下層土の化学性が改善されると、作物の根は下層に伸びる。これは一種の生物耕であり、排水性の持続性はさらに高まるともされた。
土壌肥料関係者が実験すると、かなりの好結果である。急ぎ事業用の心土肥培耕プラウを設計することになった。ここで問題が派生する。土壌改良資材を心土に混和するようにと条件をつけたのである。そのためには、サブソイラの後部にロータリをつけなければならない。技術的にはそう難しくはないが、ロータリをつけるとプラウ耕の作業速度は望めなくなってしまうのである。
硬盤層を砕くことはそう難しくはない。サブソイラなどを用いることで容易である。しかし、それだけでは問題は解決しない。砕くだけではシルト質が多いだけにすぐにまた硬化するからである。破砕効果を持続させようとすると、上下の土壌と混和し、土質を調和させるなどの工夫がなければならない。
「心土耕プラウ」から「心土肥培耕プラウ」の開発へ
耕土改善事業の当初は、北海道では心土耕プラウが主流であった。それは、北海道の土壌の多くは、「犂底盤」が劣悪であったためである。ほとんど例外なく、燐酸吸収係数が大きいとか、酸性土壌であるなどである。急激に深耕すると不良上が作土に混入するため、豆類などは生育が劣り、収量も激減する結果となる。
心土耕プラウであれば、作土の耕起深は従来と同じでよく、「犂底盤」は付随するサブソイラで破砕するものであり、深耕の目的を達しながら、作土の化学性を悪化させるものではなかった。
サブソイラにはいろんな工夫が施された。「犂底盤」を破砕することが主目的であり、下層上をあまり作土に混入させてはならない。一方、破砕の持続性を高めようとすると、単純な破砕では満足できず、けん引抵抗を少なくすることも含めていろんな形状の研究が行なわれた。
しかし、サブソイラに工夫があっても、心土耕プラウでいつまでも満足できるものではない。深耕によって排水性は良好になっても、下層土の化学性が改善されない限り、根が下層に伸びることは少なく、土づくりとしては中途半端であるからである。
そんなことから、下層土の化学性を矯正してしまえば、それは層の厚い作土作りであり、次回からワンボトムで深耕混層することも可能である。それが本質的な土作りではないかと考えられるようになった。
そこで考え出されたのが心土肥培耕プラウである?心土耕プラウの上に土壌改良資材のタンクを乗せ、プラウインクと同時に心土に燐酸や石灰を供給すれば、劣悪な下層土の化学生は矯正できるとしたものである。下層土の化学性が改善されると、作物の根は下層に伸びる。これは一種の生物耕であり、排水性の持続性はさらに高まるともされた。
土壌肥料関係者が実験すると、かなりの好結果である。急ぎ事業用の心土肥培耕プラウを設計することになった。ここで問題が派生する。土壌改良資材を心土に混和するようにと条件をつけたのである。そのためには、サブソイラの後部にロータリをつけなければならない。技術的にはそう難しくはないが、ロータリをつけるとプラウ耕の作業速度は望めなくなってしまうのである。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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