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同伴者たち

品質管理の基準を定義するのは国ではなく生産者の仕事である!/(株)伯養軒 専務取締役 伊藤俊二

情報伝達の広がりと速さが鍵になる


 こういうことをずっと考えておりますと、やはり農業というものの持つ多面的な側面が徐々に見えてきます、環境保全問題も含めてですね。地域流通も守るべきだという声も出て、賛同する者も出てきたわけです。

 昔は都市近郊には小口の集荷業者がいて農家をまわっていろいろな作物を集荷して、それを売る八百屋さんが沢山いたわけです。今その八百屋さんがいなくなっているわけです。それを復活させようということから、そのもっともプリミティブな形である「市」を始めたわけです。問題は市そのものをどうして行くかということではなくて、地域の農産物を地域で消費させるという、それこそが日本の農業を守る一番大切なことではないかということですね。それをテーマにして今活動しているところなんです。

 単なる知識として入っていくのではだめなんです。作業として取り組まれなければ意味が無いことですね。とにかくプロパガンダし続けることが大切になるわけです。

 これまでは減反政策から休耕田、そこから転作田そして指定産地化という流れですね。

 それに対応して政府の価格補填事業(指定消費地への共同出荷率による)とか生産者交付金(構造改善事業から共選・共販を通じて)というものが大生産地の形成をすすめていきます。

 その結果が大消費地の中央卸売市場の青果物寡占化を促進し、量販店や物流センターに作物が集中する形で現在の農業生産物の流通システムが成り立っているということですね。

 ここからどのような弊害が出てきているか見ますと、一つには規格化の弊害ですね。これは品目も同じですが大型量販チェーン店の求める形になっている。それに共販品目以外は出荷されなくなっていますね。その結果何が起こっているかというと卸売市場の形骸化です。

 こうしたことは指定産地化されないような都市近郊農業や中山間地農業の問題解決にはまったくなりません。

 これは、戦後の日本の農政がしょってきた問題、飢えをしのぐための農業生産ということに比重が置かれてきたということの影響だと思います。

 飢えをしのぐということになるとどうしても土地集約的な農業になります。バレイショ、ニンジン、タマネギがそうですし、もちろん米もそこに入るものです。

 これらの作物についての生産の考え方は、指標といってもいいですが、量の確保が第一ですから生産量や生産高、販売高、そして生産性と価格という、いわば国民経済的な視野が優先してきます。

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