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同伴者たち

品質管理の基準を定義するのは国ではなく生産者の仕事である!/(株)伯養軒 専務取締役 伊藤俊二

 しかし、それとは別にこういう問題があるじゃないか、ということですね。それは耕作地保全ですとか、後継者育成、これは農業技術だけではなく経営を学ぶ仕組み作りを抜きには出来ませんがそして食文化継承、農産物と消費の形としての料理文化がつながるということ、さらに農業の永続性や事業としての安定性を確保するため、不可欠な条件となる環境保全型農業の確立です。

 具体的にこれをどういう形に置き換えていくかの問題ですが、まず表をご覧ください。第一に耕作することがテーマとなるはずです。そして適地耕作が問題になる、反当り収量の問題でも価格の問題でもなく生産量(ロット)でもない。品目も当然多様化するというように、土地集約農業の逆からの発想が求められてくるように思うんです。

 そしてここで一番大切なことは、その地域の農産物の情報なんです。だれが、何を、どれだけ、いつ出荷出来るのか、という情報です。

 これを地域の消費者、これは外食業であり、食品加工業であり、学校や病院などの消費者に、行政が仲立ちとなる形で的確な情報を流す役割を担う地域農産物情報センターを設け、ここにすべての情報を集約していく。

 生産情報と需要情報が一つところで得られる仕組みですね、生産者も流通も消費者も同じ的確な情報にもとづいて動いていくわけです。この場合、特に大切なのは出荷流通の形態を多様化し、小規模化していくことです。

 たとえば、自己出荷があれば、産地仲買人も、運送業者による代行出荷(乗合いバス方式)もある、これを公設の小売市場で生産者グループみずからが売る方法や、常設のまた定期の朝市や夕市を設けて売る方法も採用していくというようにですね。

 ですから出荷規格についても緩くし、ポリコンテナ出荷でいいし、ロットも小さくていいわけです。

 こういう形で地域生産者と地域の消費者(学校給食、病院給食、外食業)を強く結び付けていくことが、主体的な農業生産者を作りだし、地域農業活性化を進め、農業経営の基盤確立の第一歩になると思うんです。実際、病院の管理栄養士さんは野菜の産地や季節、市場価格など何も知らないで献立作っていますから。


農業者の定義を改めることが前提条件だ


 いま農業経営ということで一番問題になるのは農業者という言葉の定義だと思うんです。これをはっきりさせることが必要ですね。

 どうですか、いま実態としては農家の90%近い第2種兼業農家で見て、全収入にしめる農業収入は5%ぐらいです。

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