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同伴者たち

品質管理の基準を定義するのは国ではなく生産者の仕事である!/(株)伯養軒 専務取締役 伊藤俊二

 5%というと、われわれのような業種でも不況になると時間外の削減や賞与の力ットなど5%ぐらいはすぐ変動するんですね。それでもちゃんと企業も労働者も生きているわけです。その点を考えますと農業収入5%が農業者かどうか。

 その5%の人達をどうするかということで、膨大な手間やお金をかけてどうするつもりなのかという問題があると思うんですよ。それが日本の農業の本質的な解決になるのか疑問ですね。新農政で個別的中核農家ですか、組織形態で一応の区分をしたとは思うんですが、県農政の段階で降ろして いくときにその辺りがすっとんでしまうんですね。

 だれを主体にというときの定義、ですから、これをはっきりさせておかなければならないと思いますね。

 その主体をどうするのか、私は外食業に身を置いてきましたからこういうんですが、われわれも通ってきた道なんですよ、つまり、生業、家業から事業になる道ですよ、ということですね。大事なのは自己責任の原則でやるということですね、だれもが全部がうまくいったわけではないわけですから。

 外食業を見て下さい。われわれのほとんどの人が家や土地を担保に借金して、やってだめなら全部取り上げられるし、うまく行けば子供達が後を継いで発展させるというようなことですが、これは産業界がみんな通ってきた道なんです。


自主的な品質規格で共同の基盤作りを


 ところで、自分から一所懸命事業家たらんと頑張ってきた人達、事業を目指す人達の多くが特栽米にかけてきているんですね。私はそれは限界がありますよといってきたんです。

 ではその先に何かあるんだろうかという話ですね。ここから先は分からないところがあるんですが、一つこういう仮説が成り立つんではないかと思うんです。一定の集落や似たような土壌や気候の地域ですね、そこで同じ積肥の基準や農薬の基準を決めて、一定のお米を作って共同で出荷するというようなことをやっていかないと、特栽米だけではだめなんじやないだろうか、限界があるんじやないかと思っているんです。いわば、フランスで言うところの「原産地呼称統制法」ですね。

 国が決めた基準ではなしにこれは生産者の自主基準なんですね。このワインはこうだ、このチーズはこうだという基準を自主的に決めてやっている。

 品質管理技術が問題になるんです。昧を基準とした、品質を管理するための自主的な基準作りが、作る側から定義されていくわけです。

 現在のように昔の県域で規格を決めているような非合理は、規格とは言えないものです。自主的な基準が作られていないから、偽のブランドも出てくるわけですね。

 フランスの場合にはネゴシアンブランドというものがありますが、これは仲買人が規格を作って流通させているんですね。これは常にお客さんを前提にしないと出来ないことです。

 日本の農業はこれまでお客さんというか消費者の方を向いてこなかった。常に顔を向けているのは経済連であり農水省の方なんです。これでは品質管理ということが出てきません。話がいろいろ飛びましたが、いずれにしても、農業における事業のあり方が今ほど真剣に問われている時代はありません。繰り返しになりますが、本当に大切なのは自分が作ったものを自己責任で売ることを通じ、農業経営者としての自立の道を探ることではないでしょうか。


多様な外食ニーズに対応し、きめ細かな業態を展開。東北地区の地域農産物流通の活性化を通じて、品質向上を推進中。

((株)伯養軒)

 同社の創業は古く、江戸時代の嘉永3年、仙台国分町に大泉屋旅館を開業。その後明治20年東北本線開通にともない現在の仙台駅前の仙台ホテルの場所に大泉屋旅館を開業。23年駅構内で食堂と駅弁の立ち売りを開始。昭和17年(有)伯養軒設立。戦後27年に株式会社へ改組し、39年国際的な都市型ホテルとして仙台ホテルを駅前に新築。61年仙台ホテルをリニューアル。平成2年、仙台空港国際化にともない機内食業を開始。平成4年、仙台空港で日本航空のグランドハンドリング(カウンター業務代行)業務を受託。業務内容は多岐にわたり、仕出し弁当製造、レストランやファストフード、駅構内レストランと売店業務、給食事業、ケータリング事業、機内食製造販売業、航空会社のカウンターハンドリング業務のほかホテル、宴会、公共施設内の食堂などを経営。年商は200億円で、従業者は3000人を数える。東北地区外食業の大手企業であり、地域農業への理解が深く、独自のマーチャンダイジングを展開中。機内食部門でシンガポールエアラインの全世界50以上のターミナル中ナンバーワンの評価を受ける。

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