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どちらかといえば農協に甘い須賀田局長が、こんな「指示」を出したのは、全農の経営体質にすっかりさじを投げてしまったということか。とにかく、過去4年間で6件もの法令違反を繰り返し、その都度、農水省から業務改善命令を受けてきたことは事実である。
今回の事件の悪質さは、過去6件の比ではない。架空取引で公正な米価格形成に泥を塗ったこと、詐欺同然の手段で補助金をだまし取ったこと。これは絶対に許せないことだ。もはや業務改善命令ではなく、相当期間の業務停止命令が相応しい。
同日、石原葵事務次官は「(全農の)解体的出直しを求めていく。全農のあり方を審議する省内組織の設立を検討している」とのコメントを出した。全農のあり方も結構だが、農水省も、なめられっぱなしの自らのいたらぬ点を改革するために、論議をすべきではないのか。
全農という組織は本当に腐りきっている。全農秋田の中間報告書(4月21日)で読んであらためて実感した。常識では図りきれない商取引が状態化している。それをチェックするシステムが働いていない。中間報告書の一部を長いが引用する。
(1)株式会社パールライス秋田(以下、「パール秋田」)は、97年から特定県パールライス卸会社(以下、「A社」)を帳合として取引していた株式会社白木商事(以下「白木」、所在地・兵庫県)と取引を開始した。この取引は、当時秋田県経済連の職員(00年にパール秋田の営業課長)により開始されたが、03年7月まで売買基本契約は締結されていない。
(2)02年4月、白木の取引先の倒産により、白木は経営不振に陥り、02年6月以降、同社からの入金が延滞し始め、パール秋田では、03年5月ごろから、A社を帳合とした白木からの入金が恒常的に延滞するようになっていた。この間の3者の取引におけるパール秋田の処理は、次のとおりであった。
一、白木からの注文により、秋田県本部(以下、「県本部」)から仕入れ、A社宛の請求書が出力されるが、営業課長の指示により、A社に送付しない。
二、営業課長は、白木に当月分の支払い可能な金額を確認し、翌月、別途請求書をパソコンで作成し、A社に送付する。
三、A社は、白木に請求書を送付し、白木からの入金を確認のうえ、その金額をパール秋田に支払う。
(3)03年6月17日、パール秋田(事業部長と営業課長)とは代金支払い、契約締結など協議したが、この打合せ以降も白木からの入金は延滞が続いたため、パール秋田(専務)は03年9月3日、信用調査を実施し、9月22日の出荷を最後に、A社を帳合とした白木との取引を中止するよう営業課長に命じた。
今回の事件の悪質さは、過去6件の比ではない。架空取引で公正な米価格形成に泥を塗ったこと、詐欺同然の手段で補助金をだまし取ったこと。これは絶対に許せないことだ。もはや業務改善命令ではなく、相当期間の業務停止命令が相応しい。
同日、石原葵事務次官は「(全農の)解体的出直しを求めていく。全農のあり方を審議する省内組織の設立を検討している」とのコメントを出した。全農のあり方も結構だが、農水省も、なめられっぱなしの自らのいたらぬ点を改革するために、論議をすべきではないのか。
常軌を逸した全農の商取引
全農という組織は本当に腐りきっている。全農秋田の中間報告書(4月21日)で読んであらためて実感した。常識では図りきれない商取引が状態化している。それをチェックするシステムが働いていない。中間報告書の一部を長いが引用する。
(1)株式会社パールライス秋田(以下、「パール秋田」)は、97年から特定県パールライス卸会社(以下、「A社」)を帳合として取引していた株式会社白木商事(以下「白木」、所在地・兵庫県)と取引を開始した。この取引は、当時秋田県経済連の職員(00年にパール秋田の営業課長)により開始されたが、03年7月まで売買基本契約は締結されていない。
(2)02年4月、白木の取引先の倒産により、白木は経営不振に陥り、02年6月以降、同社からの入金が延滞し始め、パール秋田では、03年5月ごろから、A社を帳合とした白木からの入金が恒常的に延滞するようになっていた。この間の3者の取引におけるパール秋田の処理は、次のとおりであった。
一、白木からの注文により、秋田県本部(以下、「県本部」)から仕入れ、A社宛の請求書が出力されるが、営業課長の指示により、A社に送付しない。
二、営業課長は、白木に当月分の支払い可能な金額を確認し、翌月、別途請求書をパソコンで作成し、A社に送付する。
三、A社は、白木に請求書を送付し、白木からの入金を確認のうえ、その金額をパール秋田に支払う。
(3)03年6月17日、パール秋田(事業部長と営業課長)とは代金支払い、契約締結など協議したが、この打合せ以降も白木からの入金は延滞が続いたため、パール秋田(専務)は03年9月3日、信用調査を実施し、9月22日の出荷を最後に、A社を帳合とした白木との取引を中止するよう営業課長に命じた。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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