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今月の数字

11.3% 平成13年産から平成14年産にかけての神奈川県内ダイコン農家における農業経営費の削減割合例

3月31日に農水省から「野菜政策に関する研究会」報告書が公表された。平成13年度から平成16年度まで「野菜の構造改革対策」の下で1900余りの野菜産地が産地改革計画を推進してきた。産地改革には低コスト化、契約取引の推進、高付加価値化という3つの戦略モデルがあり、各産地は自らがたてた数値目標に対しての達成度をA(71%以上)、B(51~70%)、C(50%未満)の3段階で評価している。報告書によればAとBを合わせた評価は野菜産地の約67%だった。
平成13年産から平成14年産にかけての神奈川県内ダイコン農家における農業経営費の削減割合例

11.3%


 3月31日に農水省から「野菜政策に関する研究会」報告書が公表された。平成13年度から平成16年度まで「野菜の構造改革対策」の下で1900余りの野菜産地が産地改革計画を推進してきた。産地改革には低コスト化、契約取引の推進、高付加価値化という3つの戦略モデルがあり、各産地は自らがたてた数値目標に対しての達成度をA(71%以上)、B(51~70%)、C(50%未満)の3段階で評価している。報告書によればAとBを合わせた評価は野菜産地の約67%だった。

 低コスト化の当初のイメージは生産・流通コストの3割程度の削減だった(実際に産地が立てた削減率の目標は平均18.2%だが)。3割は相当大変だが、18%だって大変である。しかし具体的な達成度について数字が出ていない。

 何か参考にならないか統計データを探していて野菜に関するデータの薄さを痛感した。野菜の生産費に関する調査は17品目を対象としているが、調査農家数は1品目当り30前後。主産地を対象としているため年によって道府県が違う。さらに最近は季節区分を加えたため、生産費の低い道府県が該当するとそれだけで全体の平均値が下がるという数字のいたずらが起きるのだ。

 平成14年産と13年産について農業経営費を比較したものがある。ダイコン、ハクサイ、キャベツ、ピーマンは対前年比で90%を下回っているが、前に説明したような事情があるため単純に比較することはできない。道府県別、季節区分別に見て2ヵ年を比較できるのはダイコンでは神奈川県、ハクサイは長野県と茨城県、キャベツは群馬県と山梨県で、いずれも5農家前後のサンプルだ。

 キャベツは労働時間が短く(群馬県では65時間、山梨県では134時間)雇用労賃や賃借料はほとんどかかっていない。このためこの2県では物財費を少しずつ削って7~8%のコストを削減している。

 対してハクサイの長野県とダイコンの神奈川県は人件費をざっくり削ってそれぞれ16.0%、11.3%と二桁のコスト削減を達成している。しかもこの2県、労働時間合計は増えているのに家族以外の労働時間を逆に減らしているのだ。減価償却費や農機具代も減っているし、収穫作業の労働時間は増えているため機械化が進んだ結果とも思えないのだが、果たしてどうやって労働を吸収できているのだろうか?いずれにしても、経年的にコスト削減データを蓄積していくことが望まれる。

(松田恭子)

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