記事閲覧
【土壌別経営診断うちの土ではどう作る?】
井原豊さん(兵庫県揖保郡)の場合
- 農業コンサルタント 関祐二
- 第8回 1996年10月01日
- この記事をPDFで読む
一番いいのはアッサリとした米作り
関 一般に西南暖地は温度が高いところなので、元々、地カチッソがあるのに慣習的にどうしても肥料を施してしまう。そのため、チッソ過多となりがちで筋骨隆々とした一見立派な稲ができるが、食味のほうは今一つとなりがちなのが現状ではないでしょうか。その意味からすると、西南暖地でのおいしいお米作りの探求は、アンモニアなどの肥料成分をどの程度まで下げていくかという方向性で進むことになるのでしょうか。
井原 肥料分か多いか少ないかは、葉の色を見ればすぐ分かります。収穫間近な今であれば、チッソ過多、カリ過多の場合は、黒っぽくなる。うまくチッソが切れたような稲はきれいな色をしている。つまり、遅くなってから肥料をやっては、絶対ダメだということです。畑と水田では土壌成分などが全く違う訳ですが、特に有機栽培ではその違いが明らかになります。有機肥料をたくさん与えるのが良いように言われていますが、私の50年間の経験では有機コッテリよりは、化成アッサリのほうがおいしいお米ができる。一番いいのは、有機でアッサリつくることです。微量要素についても同様です。酒と同じで、適量のうちは百薬の長ですが、過剰になると百害あって一利なしとなる。特にコシヒカリはその傾向が顕著です。
関 この連載の前回に登場していただいた乗松さんもおっしゃっておりましたが、畑作と稲作の違いと同じぐらいに寒冷地と暖地での稲作では、おいしい米の作吼方は違うのですね。8俵取りぐらいがおいしいお米を作るコツだともおっしゃっておられました。
井原 この地域の稲の生育特徴として、葉色がなかなか黄色にならないで黄緑色をしている。いつまでも枝梗が生きている。ですから出穂後55~60日後に刈り取ることができるのです。あまり多収するよりも8俵取りぐらいのほうがおいしいお米ができる傾向は確かにあると思います。しかし私は、良食味と多収量を両立させた稲作を究極の目標として取り組んで来ました。
会員の方はここからログイン
関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
土壌別経営診断うちの土ではどう作る?
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)