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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

井原豊さん(兵庫県揖保郡)の場合

兵庫県太子町で稲、麦、野菜等を生産・直販している井原さんは、質・食味と同時に収量を高位なものにする暖地稲作を研究・実践している。その独自の稲作理論・技術は、氏の50年間の試行錯誤の末に得られたものである前回の乗松さんの場合に引き続き、西南暖地での有効的な稲作技術について、実証例に基づいた探求を試みる
一番いいのはアッサリとした米作り


関 一般に西南暖地は温度が高いところなので、元々、地カチッソがあるのに慣習的にどうしても肥料を施してしまう。そのため、チッソ過多となりがちで筋骨隆々とした一見立派な稲ができるが、食味のほうは今一つとなりがちなのが現状ではないでしょうか。その意味からすると、西南暖地でのおいしいお米作りの探求は、アンモニアなどの肥料成分をどの程度まで下げていくかという方向性で進むことになるのでしょうか。

井原 肥料分か多いか少ないかは、葉の色を見ればすぐ分かります。収穫間近な今であれば、チッソ過多、カリ過多の場合は、黒っぽくなる。うまくチッソが切れたような稲はきれいな色をしている。つまり、遅くなってから肥料をやっては、絶対ダメだということです。畑と水田では土壌成分などが全く違う訳ですが、特に有機栽培ではその違いが明らかになります。有機肥料をたくさん与えるのが良いように言われていますが、私の50年間の経験では有機コッテリよりは、化成アッサリのほうがおいしいお米ができる。一番いいのは、有機でアッサリつくることです。微量要素についても同様です。酒と同じで、適量のうちは百薬の長ですが、過剰になると百害あって一利なしとなる。特にコシヒカリはその傾向が顕著です。

関 この連載の前回に登場していただいた乗松さんもおっしゃっておりましたが、畑作と稲作の違いと同じぐらいに寒冷地と暖地での稲作では、おいしい米の作吼方は違うのですね。8俵取りぐらいがおいしいお米を作るコツだともおっしゃっておられました。

井原 この地域の稲の生育特徴として、葉色がなかなか黄色にならないで黄緑色をしている。いつまでも枝梗が生きている。ですから出穂後55~60日後に刈り取ることができるのです。あまり多収するよりも8俵取りぐらいのほうがおいしいお米ができる傾向は確かにあると思います。しかし私は、良食味と多収量を両立させた稲作を究極の目標として取り組んで来ました。

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