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井原 この地域でもプラウ深耕した例はありますが、稲が倒伏してダメだったようです。私の考えでは、倒伏に強い短秤種の増収だけを目指すのであれば、プラウ深耕は有効な手段だと思います。ただ、米についても良食味が求められる今の時代には合わないと思っています。コシヒカリなどの倒れやすい良質米を作る場合には、作土は浅くしたほうが良いのです。穂が出た頃には肥切れしている状態でないとダメですね。
関 肥料が切れる切れないというのと、青々とした健全な稲の生育とは違うということですね。
井原 完全な肥切れというのは地力がまったくないのだから、これは不健全で病的な状態と言える訳ですが、普通にワラを還元してやる程度のことだけで、その様にはならないのです。自然に流亡したものを補うというやり方で十分だと思います。ワラを田んぼに戻すだけでもかなりの効果があると思いますし、仮にワラを戻さなくても株と根は残るわけですから、完全な肥切れとはなりません。
関 米ヌカと米質との関係についてはどうお考えですか。
井原 米ヌカは人間が稲を作って収奪したもののエッセンスですから、それを田んぼに返してやるということは最高に良いことだと思いますよ。ワラとヌカは、すべての肥料要素、微量要素を完璧に備えたものだと思っています。ただ、私の作った白米は、蛋白質含量が5%を切っており、新潟産コシヒカリの6.5~6.8%と比べて少ない。このことは、もちろん米ヌカにも影響しますから私の米ヌカは効かないんですよ。(笑)
関 この辺りの岩を見ると花尚岩系の酸性岩のようですが、カルシウムやマグネシウムの不足はありませんか。
井原 河川の水系によってカルシウム勘定かかなり違ってきますが、ここの近くを流れる揖保川水系の水はカルシウムは少ないと思いますよ。ですから私は過リン酸石灰を入れるようにしています。一般に硫酸カルシウム(過リン酸石灰の約60%が硫酸カルシウム)の効用は、水田よりは畑で顕著になりますが、コシヒカリは別です。食味が全然違ってきます。過リン酸石灰の効果はイチゴやスイカなどでも食味にはっきりとでます。ですが、それをやると農水省の有機栽培のガイドラインから外れることになるんです。もともとは鶏糞であって、それを入れると食味に断然の違いがでるのにですよ。そこで私は、「有機栽培・化学合成物質は一切使っておりません。ただし、過リン酸石灰は使っています。」と表示してスーパーに置いてもらっています。
圃場・改善のポイント/西南暖地の水田作その(2)
冬季の堆肥散布で肥料成分量の調整をする
前回に続いて日本列島の南半分を占める西南暖地の水稲作を考えてみます。
稲は元々は南方系の植物であり、どうして北日本で食味良好な米がとれ、暖かい西南暖地がその次なのか…。
もちろんこれには、一般論として気温の日格差が大きいとか、土壌条件が違うとかいうことは世間で言っているわけですが、もっと具体的取り組みをするべきと考えました。
関 肥料が切れる切れないというのと、青々とした健全な稲の生育とは違うということですね。
井原 完全な肥切れというのは地力がまったくないのだから、これは不健全で病的な状態と言える訳ですが、普通にワラを還元してやる程度のことだけで、その様にはならないのです。自然に流亡したものを補うというやり方で十分だと思います。ワラを田んぼに戻すだけでもかなりの効果があると思いますし、仮にワラを戻さなくても株と根は残るわけですから、完全な肥切れとはなりません。
関 米ヌカと米質との関係についてはどうお考えですか。
井原 米ヌカは人間が稲を作って収奪したもののエッセンスですから、それを田んぼに返してやるということは最高に良いことだと思いますよ。ワラとヌカは、すべての肥料要素、微量要素を完璧に備えたものだと思っています。ただ、私の作った白米は、蛋白質含量が5%を切っており、新潟産コシヒカリの6.5~6.8%と比べて少ない。このことは、もちろん米ヌカにも影響しますから私の米ヌカは効かないんですよ。(笑)
関 この辺りの岩を見ると花尚岩系の酸性岩のようですが、カルシウムやマグネシウムの不足はありませんか。
井原 河川の水系によってカルシウム勘定かかなり違ってきますが、ここの近くを流れる揖保川水系の水はカルシウムは少ないと思いますよ。ですから私は過リン酸石灰を入れるようにしています。一般に硫酸カルシウム(過リン酸石灰の約60%が硫酸カルシウム)の効用は、水田よりは畑で顕著になりますが、コシヒカリは別です。食味が全然違ってきます。過リン酸石灰の効果はイチゴやスイカなどでも食味にはっきりとでます。ですが、それをやると農水省の有機栽培のガイドラインから外れることになるんです。もともとは鶏糞であって、それを入れると食味に断然の違いがでるのにですよ。そこで私は、「有機栽培・化学合成物質は一切使っておりません。ただし、過リン酸石灰は使っています。」と表示してスーパーに置いてもらっています。
圃場・改善のポイント/西南暖地の水田作その(2)
西南暖地の食味追求の水稲作は?
冬季の堆肥散布で肥料成分量の調整をする
前回に続いて日本列島の南半分を占める西南暖地の水稲作を考えてみます。
稲は元々は南方系の植物であり、どうして北日本で食味良好な米がとれ、暖かい西南暖地がその次なのか…。
もちろんこれには、一般論として気温の日格差が大きいとか、土壌条件が違うとかいうことは世間で言っているわけですが、もっと具体的取り組みをするべきと考えました。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
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