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特集

作物のための暑さ対策

 日本は温帯に分類されると中学時代習った。しかし、熱帯のスコールや乾燥帯の猛暑を思い浮かべてしまうような日々を、この日本国内で、しかも自身が住むその地で体験したことのある人は少なくないだろう。 昨年の夏は最多の台風上陸や未曽有の集中豪雨の頻発などが多く、そして例年になく暑かった。雨や風による被害が多かったことはもちろんだが、暑さゆえの生産減退に苦しんだ経営者も多くいたことだろう。 気象庁の長期予報によると、今年の夏も暑くなるという。暑さと、暑さから来る乾燥、そして水不足。前もって対策するのであれば、動き出すのは今しかない。 もう間もなく、本当にあっという間に、あの暑い夏がやってくる。

「室温」ではなく「葉温」を下げる!


 施設園芸において、今まで「暑さ」が語られる際、そのほとんどがハウス内の室温を問題としてきた。しかし現実として、日本よりも暑い地域でも施設栽培が成立しているのはなぜだろう。作物によってはヒートポンプ冷房を用いて室温を下げているところもあるが、広い施設全体を冷やすにはかなりの電力が必要となってしまうし、小さな施設に各一台づつ設置したのでは見合わない。

 快適な作業のために室温を下げるという点ももちろん必要であるが、本来の問題は葉温、つまり葉の温度が上昇することで光合成量が減ってしまうという点にある。下げたいのは室温ではなく葉温なのだ。

 葉温は、室温が高い時だけに限って上昇するものではない。強風や強い光が当たった場合、植物は体内の水分を守ろうと自己防衛的に気孔を閉じてしまう。このことで蒸散が止まり、葉温が上がる。光合成をしなくなることが生育に悪影響を及ぼすことは言うまでもない。

 試験場などには葉温専用の高価な計測器具もあるかもしれないが、比較的手に入れやすく安価な放射温度計でも、葉温の計測はできる。


熱線と光線は別


 一般に、光を遮れば熱を遮ることができるという考えが浸透しているが、これは間違いであると言えよう。もちろん強すぎるのは問題だが、光を必要とする作物にとって、光の遮断は決して望ましいとは言えない。光を遮られた状況下で育った作 物は、日陰の作物同様、根張りが良くない。光は極力遮らず、作物の葉温、そしてハウスの室温を下げるための方法や資材をあげてみよう。

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