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雇用創出から機会創出へ フリーターをどう見るか
昆 私は戦後の農業における経営者は農水省であり、ほとんどの農家は「自ら借金を抱えた作男」だったととらえています。補助金付きで稲作をするサラリーマンとたとえてもいいでしょう。
また、一部の法人経営が「立派」だともてはやされ、行政のお墨付きを得たような形で存在します。しかし、内実は借金の山だったりで、その姿は農水省の「子会社」といってもよい法人もあります。
農業分野での雇用創出を考えているとのことですが、農業は果たして産業たり得ているのか。雇用の前提となる経営者がどれだけいるかが問われるのではないでしょうか。だからこそ、パソナのような会社が人材を送り出し、農業経営者を教育する意味があるとも言えるのですが。
南部 確かに従来は、産業があり、企業があって、人は雇用されると考えられてきました。しかし、私はそうではないと提言しています。
私の若い頃はフリーターを「プータロー」と呼んでいました。両者の実態は似ていますが、明らかに違う点があります。一つは人数、フリーターはプータローより1桁多いのです。それと、今、新卒で3年以内に会社をやめる人の割合が30%を超えています。つまり終身雇用を彼らはもう望んでいません。以前のように会社の知名度で就職先を決めたりもしません。
もともと、「終身雇用」「年功序列」は、企業の数で言えばほんの数%の大企業にだけ当てはまるものでした。中小企業の場合、今も昔も、いつ雇用関係が切れるかわかりませんし、アウトソーシング(外部委託)もごく普通です。
ところが、最近では大企業ですら、終身雇用や年功序列を廃止しつつあり、社会的に大きな変化が起きています。企業の側が雇用する、個人は雇われる、そういう主従関係は終わるでしょう。
本来ならば、変化に合わせた社会の意識改革や、新たな税制などの社会構造基盤が必要なのですが、政府はまだその必要性を認めたくないようです。その結果、フリーターたちが悶々とさまよい歩いているのが現状です。
私は会社を起こして以来30年間、「雇用創出」と言い続けてきましたが、これからは「機会創出」ではないかと思っています。若者たちは雇用さえがあれば何でもいいのではなく、自分の可能性を広げ、才能、能力を発揮できる機会を求めています。それらを作っていくことが、今後の我々の使命の一つです。
新規就農にプラットホームを作る
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南部靖之 ナンブヤスユキ
株式会社パソナ
グループ代表兼社長
1952年神戸市出身。関西大学工学部の卒業前に人材派遣業を開始。以来、新たな就労や雇用のあり方を提案し続け、03年月東証1部上場。また、各地の大手企業とともに関東・関西雇用創出機構を立ち上げ、業界や産業の枠を越えた転職、再就職の実現を目指す。著書に「人財開国」「創業は創職である。」(共著)「この指とまれ」など。
http://www.pasona.co.jp/
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