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昆 フリーターたちは少々わがままではあっても、精神的には自由な人々でしょう。彼らにチャンスを与え、真の職業人として鍛えていかなくてはならないわけですが、実際のところ企業側は低賃金労働者、つまみ食いの雇用としてしか、見ていないのではありませんか。
南部 問題はものすごくあると思いますよ。ただ、現代のフリーターには選択権があります。彼らは、給料が高くても会社に束縛される就職ではなく、低賃金でも縛られない「しあわせ」を選んだのです。価値観が変わったのでしょう。だから、大企業の採用試験を受けもしない。
世間ではよくフリーターについて、「年金制度を崩壊させる」「税収を減らす要因になる」などと批判します。私はフリーターそのものが問題なのではなく、自分の意志で選んだかどうかだと思います。ある日、ふと気づいたら仕事がなくなっていたというフリーターも、なんとなく良い大学を出て大企業に入ったけれど、45歳で突然リストラされたという人も、同じなのです。
誤解されては困るのですが、我々がすべての面倒を見るわけではありません。働く場を与えるのはスタートに過ぎず、むしろ一匹狼のインディペンデント・コントラクター(独立契約者)を育てたい、多様な働く場、選択性のある雇用体系を作りたいのです。その選択の中に農業という機会、チャンスを加えようとしているわけなんですね。
昆 実際、農業をしたいという人は非常に増えているようです。
南部 実際に農業を始めて満足している人も多いでしょうが、健康管理で問題を抱えたり、クレジットカードを持てなくなったりと悩んでいる人がいるようです。そうした点でパソナがお手伝いできればいいなと考えています。
また、新規就農に当たって、バラバラに入ってもらうのではなく、私たちがプラットホームを作る。その中で年金や福利厚生などのサービスも揃え、ホームに立った人たちに色々な種類の「切符」を売ることもできるでしょう。
農業に新時代到来 人材・労働力供給に変化
昆 昨年実施したフリーターの農業研修ですが、半年間のプログラムを終えて、成果はどうでしたか。
南部 当初は「ちゃんと朝早く起きられるか」と心配していたぐらいですから、まずはよく頑張ったと思いますよ。事前に座学で理論的なことを学ばせ、仲間意識を持たせるための仕組みを作り、健康診断をしておくなどの準備をしたのが、よかったのでしょう。
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南部靖之 ナンブヤスユキ
株式会社パソナ
グループ代表兼社長
1952年神戸市出身。関西大学工学部の卒業前に人材派遣業を開始。以来、新たな就労や雇用のあり方を提案し続け、03年月東証1部上場。また、各地の大手企業とともに関東・関西雇用創出機構を立ち上げ、業界や産業の枠を越えた転職、再就職の実現を目指す。著書に「人財開国」「創業は創職である。」(共著)「この指とまれ」など。
http://www.pasona.co.jp/
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