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【Opinion】
GMをなぜやらせないか?GMをなぜやるか?
- 西南農場 代表取締役 宮井能雅
- 2005年04月01日
2004年10月1日、毎日新聞北海道地方版に「遺伝子組み換え大豆/長沼の農家、本格栽培へ」の記事が出た。地元をはじめ、関係各機関は大慌て。取材自体は、過去1997年と1998年に4.6haに作付け、収穫した経緯から、「来年はどうされますか?」との質問に「そうですね、またGM大豆栽培しようかなあ」程度のやり取りでした。
まず言って置きたい。GM論議は無駄である。なぜなら、1996年に農水省と厚生省が、日本に輸入され、流通しているGM作物は安全だと認めているからだ。そして現在すでに、日本は年間に一人当たり33kgのGM大豆ミールを消費している。
では、なぜ世間は騒ぐのか? 騒ぐ人はバカとは言わないが、騒いでもらって喜んでいる連中がいる。農水の役人達がそうに違いない。
考えてみて欲しい。あなたの住んでいる町に原発を作るとなったら、国と地方や電気会社は「原発は安全です」と、何万回も言うだろう。けれど実際には事故は起こる。
ところが、ではなぜ、1000万t流通しているGM作物由来の食品による事故はゼロなのに、政府は「100%安全です」とメディアを通じて発言しないのか?
平成元年4月に運用が始まった消費税導入にどれだけのエネルギーを使ったか思い出して欲しい。テレビ、新聞に広告が載り、中小の会社、各家庭、職場、店舗、いたる所に消費税のパンフレットはあった。なのに、GM作物の安全性については、何も伝えようとしていない。
GM作物が安全となれば、民間企業や農家が栽培試験に取り組むはずだ。それが困るというのだろう。
現在、国産のGM作物はない。そしてモンサントの基本特許があと数年残っているため、国内では販売、開発目的での試験室におけるビーカー試験は特許違反となる。しかし、公的機関がGMOの試験をしてもモンサントは訴訟をしないだろうと見込んで、今は民間企業に栽培試験はさせず、野球の伊良部に似ている北海道の生産者に勝手に栽培させない環境を作り、特許が切れる日を耐えに耐えているのが現状だろう。
このことは、あれほど反対していたEUが、モンサントの特許がなくなるのを見込んで、EU内の農薬メーカーがGM技術を利用、発展させる目的のため5種類のGMOの栽培、流通、加工、販売を2004年9月に認めたことからも理解できる。
さて、私の地元では今回の騒動後、私の仲間を装っていた連中が文句の言いっ放しだった。しかし、そんな彼らもGMについての事実を知ると、「みんな食べてるんだよな」「これからはGMの時代だなあ」といった調子。ある人は、取材のテレビカメラに「宮井さんの今回の行動は反対。でも将来は必ず必要だと思います」と発言した。
ところが、放送では「反対」のコメントのみ使われ、「必要だと思います」はカットされた。かと思うと、最近のテレビは「賛成」のみ放送し、「反対」はカットしている。
今、北海道がGMOに関する条例案を可決しようとしている。しかし栽培に31万円の申請料はないよ。これって国内線用580人乗りボーイング747が羽田に着陸する時に支払う着陸料と同じです。この条例によって北海道が「GMOの失われた3年間」と歴史に評価されないことを心から望みます。
私はネガテブメッセージを伝えるのではなく、政府を侮辱するつもりもない。ただ、この限られた国土、この農政の中で自分に何ができるのか、そして次の世代に何を伝え、何を残すことができるのか―それを日々考えていかなければならない。
なぜ安全と言わないのか?
まず言って置きたい。GM論議は無駄である。なぜなら、1996年に農水省と厚生省が、日本に輸入され、流通しているGM作物は安全だと認めているからだ。そして現在すでに、日本は年間に一人当たり33kgのGM大豆ミールを消費している。
では、なぜ世間は騒ぐのか? 騒ぐ人はバカとは言わないが、騒いでもらって喜んでいる連中がいる。農水の役人達がそうに違いない。
考えてみて欲しい。あなたの住んでいる町に原発を作るとなったら、国と地方や電気会社は「原発は安全です」と、何万回も言うだろう。けれど実際には事故は起こる。
ところが、ではなぜ、1000万t流通しているGM作物由来の食品による事故はゼロなのに、政府は「100%安全です」とメディアを通じて発言しないのか?
平成元年4月に運用が始まった消費税導入にどれだけのエネルギーを使ったか思い出して欲しい。テレビ、新聞に広告が載り、中小の会社、各家庭、職場、店舗、いたる所に消費税のパンフレットはあった。なのに、GM作物の安全性については、何も伝えようとしていない。
GM作物が安全となれば、民間企業や農家が栽培試験に取り組むはずだ。それが困るというのだろう。
現在、国産のGM作物はない。そしてモンサントの基本特許があと数年残っているため、国内では販売、開発目的での試験室におけるビーカー試験は特許違反となる。しかし、公的機関がGMOの試験をしてもモンサントは訴訟をしないだろうと見込んで、今は民間企業に栽培試験はさせず、野球の伊良部に似ている北海道の生産者に勝手に栽培させない環境を作り、特許が切れる日を耐えに耐えているのが現状だろう。
このことは、あれほど反対していたEUが、モンサントの特許がなくなるのを見込んで、EU内の農薬メーカーがGM技術を利用、発展させる目的のため5種類のGMOの栽培、流通、加工、販売を2004年9月に認めたことからも理解できる。
将来は必ず必要だと……
さて、私の地元では今回の騒動後、私の仲間を装っていた連中が文句の言いっ放しだった。しかし、そんな彼らもGMについての事実を知ると、「みんな食べてるんだよな」「これからはGMの時代だなあ」といった調子。ある人は、取材のテレビカメラに「宮井さんの今回の行動は反対。でも将来は必ず必要だと思います」と発言した。
ところが、放送では「反対」のコメントのみ使われ、「必要だと思います」はカットされた。かと思うと、最近のテレビは「賛成」のみ放送し、「反対」はカットしている。
今、北海道がGMOに関する条例案を可決しようとしている。しかし栽培に31万円の申請料はないよ。これって国内線用580人乗りボーイング747が羽田に着陸する時に支払う着陸料と同じです。この条例によって北海道が「GMOの失われた3年間」と歴史に評価されないことを心から望みます。
私はネガテブメッセージを伝えるのではなく、政府を侮辱するつもりもない。ただ、この限られた国土、この農政の中で自分に何ができるのか、そして次の世代に何を伝え、何を残すことができるのか―それを日々考えていかなければならない。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
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