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稲刈り
カリフォルニアの稲刈り光景は日本とは少々異なります。
日本でも30a以上に整備された水田を自脱型コンバインが動き回っている光景が多くなりましたが、カリフォルニアのコンバイン(こちらではハーベスターと呼ぶのが一般的)はさらに大型になっています。
大型トラクター並みのエンジンを積み、刈り幅5mの巻き込みリールが回転し、稲穂部分を刈り取ります。それをハーベスター本体の選別機で籾と稲わらとを分け、籾を本体上部のタンクに溜めていきます。
機能的には日本で使用されている自脱型コンバインと同じなわけですが、稲の刈り取り・選別方法が異なります。
こちらの中粒種や長粒種は籾が穂から離れやすいという特徴があります。実った籾の水分が低くなってくると脱粒しやすくなります。刈り取られた稲穂は大きなシリンダーの中で撹絆されているうちにほとんどがバラバラに離れ、機械の後ろからは稲わらとゴミだけが出るようになっています。
収穫作業はたいてい朝の10時すぎの朝露が切れた頃から始まり、夕方は6時から7時まで(機械の故障と運転手のトイレ休憩の時を除いて)ハーベスターの動きは止まりません。運転手は機械を停めずに車中でサンドイッチをほおばっています。幅5m時速2kmこれが標準で、1時間に約1haの刈り取りを行います。
収穫は流れ作業
ハーベスターが収穫した籾は「バンクアウトワゴン」と呼ばれる運搬車が運びます。バンクアウトワゴンが刈り取り作業をしているハーベスターの隣りを併走し、刈り取りしながらハーベスターはタンクに溜めた籾をワゴンに排出します。約3tほどの籾は見る間に移し換えられます。バンクアウトワゴンはそこから道路(畦畔)で待っているトラックまで急いで運び出し、トレーラーに積み替えるピストン運転をします。
このトレーラーは全部で約20tの積載能力がありますので、満タンになるまで籾の運搬を行います。通常、空のトレーラーを2、3セッ卜道路近くに置き、トラックの運転手は常に満タンになったトレーラーを乾燥所までピストン輸送をしています。
作業の流れは次のようになります。
刈り取り脱穀(ハーペスター)↓水田から道路への運搬(バンクアウトワゴン)↓乾燥所までの運搬(トラック)
分業のメリッ卜を最大限に発揮する流れ作業とも言えるでしょう。それぞれの機械が休みなく働くことが機械コストを下げることになります。特に収穫機械(ハーペスター)は構造も複雑で高価な機械です。ハーベスターの性能を十分に発揮させ、効率を高めるために周辺の作業を上手に組み合わせ時間当たりの稼働を最大限にします。
カスタムワークはここでも活躍しているのです。
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田牧一郎 タマキイチロウ
コメ産業コンサルタント
1952年福島県生まれ。74年、米カリフォルニア州の国府田農場で1年間実習後、帰国、大規模稲作経営に取り組む。89年、カリフォルニアに渡米、コメ作りを開始する。同時に始めた精米会社で「田牧米」を作り、米国内にとどまらず世界中の良質米市場にブランドを定着させた。現在は、コメを生産しながら、コメ産業コンサルタントとして活躍する。
田牧一郎のカリフォルニア稲作便り
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