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乾燥作業
通常、籾水分22%程度での収穫作業になりますが、晴天が続くカリフォルニアではたちまち20%を切ってしまいます。
乾燥施設は大型の乾燥所と小規模なファームビンに分類できます。
日本で言う「カントリーエレベーター」に当たるのがここでは単に「ドライヤー」と呼ばれています。大型の施設が多く存在し、ほとんどは籾の乾燥・保管会社や協同組合が所有し、籾を生産者から委託をうけて乾燥と保管をする事を業務としています。
大規模なドライヤーに対して生産者個人で所有している施設もあります。それらは規模も小さく「ビン」と呼ぶ鉄板のサイロに温風を送り籾を乾燥させるヒーターと送風機をつけた簡単なものです。これを「ファームビン」と呼んでいますが、カリフォルニアで生産されるコメの約30%程度がこのファームビンで乾燥・保管されていると思われます。
全体の7割を処理する「ドライヤー」ですが、そこではまずトラックが搬入する生籾を大きなワラや雑草の種などと選別して乾燥を始めます。乾燥機は大きなものでは高さ30mはあるかと思われる所まで生籾を昇降機で持ち上げ、ゆっくりと落ちてくるところに温風をあてて乾燥させます。通常40℃程度の温風をあて10~12時間を何回か繰り返します。その間に何日かテンパリングを行ったりして、目標籾水分に仕上げます。普通の中粒種は籾で13~14%に仕上げます。仕上がるまでに約2週間かかります。
そうして乾燥させたものを併設してあるコンクリートサイロや平型の倉庫に保管します。
コンクリートサイロは中の籾の温度によっては天地替えや再度の通風乾燥を行うこともあります。
平型倉庫に保管する場合はまずコンクリートの床に金網で作った通風トンネルを縦横に一定間隔で設置します。このトンネルの先端は倉庫の外にある大きな送風ファンにつながっています。この網のトンネルの上に籾を積み上げ保管します。
大きな倉庫ですと数万tの籾が保管される倉庫もあります。これも籾の温度が上がったり水分が上がるような状況になると送風ファンで風を出し入れして調整しています。
この作業は一年を通して行っており、精米工場に出荷されるまで保管が続きます。
この時点の籾は生産者の所有です。自分の貯蔵倉庫や、保管管理会社に依託してあっても所有者は生産者です。
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田牧一郎 タマキイチロウ
コメ産業コンサルタント
1952年福島県生まれ。74年、米カリフォルニア州の国府田農場で1年間実習後、帰国、大規模稲作経営に取り組む。89年、カリフォルニアに渡米、コメ作りを開始する。同時に始めた精米会社で「田牧米」を作り、米国内にとどまらず世界中の良質米市場にブランドを定着させた。現在は、コメを生産しながら、コメ産業コンサルタントとして活躍する。
田牧一郎のカリフォルニア稲作便り
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