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昆 ヨーロッパには、国籍が三つぐらいある人というのも珍しくはないようです。それで、文化の相互理解という点で、ヨーロッパは我々アジアより先に行っている気がします。
金 私はそれが悔しい。日本、中国、韓国は同じ漢字文化圏で、しかもこの3カ国はアジアの中心的なメンバーです。ところが仲が悪い。
それでも、この3カ国には共通の文化があります。たとえば、この3カ国とも梅の花を大切に考える文化を持っている。だから、日本、中国、韓国を「梅の花文化圏」ととらえ、梅の絵を旗印にして、イデオロギーや偏見を超えた交流をしていくことができると考えています。
昆 私も、今後、アジア諸国もEUのようにまとまっていくはずだと思っています。ところが、そうした動きに対して、技術的にも経済的にも役割を果たせるはずの日本が、精神的、文化的に去勢されてしまっているために、それを作っていくたくましさを失っていると思うのです。
金 そうです。今の日本人は、ニセ日本人ですよ。たとえば明治に活躍した優れた日本人とは違う。戦後の日本は何でも中途半端になって本来の姿を失い、米国の奴隷になった。
昔、モーリシャスという島にブタドリ(ドードー)という鳥がいました。島には食べ物があって危険もないので飛ぶ必要がなくなり、歩くだけの鳥になった。今の日本人はそれです(ドードーは後に人と人が持ち込んだ動物のために絶滅した)。
昆 過去の悪い面しか伝えない歴史教育も問題です。日露戦争の勝利さえ、しばしば否定される始末です。
金 日露戦争でアジアの国が初めて白人の国を破ったことは、世界史の中でも大きな事件です。当時のことを調べると、アジア中が熱狂したことがわかります。伊藤博文を殺した安重根ですら、非常に喜んでいた。
日本がアジアに果たした貢献は正当に評価すべき
昆 ところが、今は戦前のすべてを否定するのが普通になっています。
かつて日本人が満州や朝鮮に行って、人々を傷つけたことも、人々の誇りを奪ったこともあったのは間違いのない事実です。けれど、各地の発展に果たした役割も小さくなかった。今、そのことを無視するのは、日本だけでなく、アジア全体の損失でもあると思うのですが。
金 物事には常に、二つの面があります。それなのに、今、日本人自身がマイナス面だけ言っているのは、精神的にダウンしている証拠です。
まず、教育にてこ入れすることです。そして自信と魂を回復することが大切ですよ。
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金文学 キンブンガク
比較文化学者・作家
1962年、中華人民共和国・瀋陽で韓国系三世として生まれる。85年東北師範大学日本文学科を卒業。すぐに大学で講師を務める。91年来日。同志社大学大学院で修士課程修了。2001年広島大学大学院博士課程修了。現在、呉大学、福山大学、放送大学で教鞭を執る。著書に「『反日』に狂う中国『友好』とおもねる日本」「韓国民に告ぐ!」「中国人民に告ぐ!」「裸の三国志」など多数。
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