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Opinion

発芽玄米の普及が示唆するもの

  • (株)世雄日本営業所 所長 胡林
  • 2005年03月01日
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発芽玄米の成分を白米と比べてみると、美容に必要なフェルラ酸は5倍、今話題のガンマ・アミノ酸(通称ギャバ)は10倍、ダイエットに必要なイノシトール約6倍、植物繊維は約四倍、現代人に不足がちなマグネシウムが約3倍、体の酸化を防ぐビタミンEが約四倍(ファンケルによる)になるそうである。
 発芽玄米の成分を白米と比べてみると、美容に必要なフェルラ酸は5倍、今話題のガンマ・アミノ酸(通称ギャバ)は10倍、ダイエットに必要なイノシトール約6倍、植物繊維は約四倍、現代人に不足がちなマグネシウムが約3倍、体の酸化を防ぐビタミンEが約四倍(ファンケルによる)になるそうである。

 発芽玄米が商品化された1998年の市場規模は数百万円だったが、5年ほどで150億円に膨らんだ。製品には飯米から、うどん、ラーメン、スナック菓子などに加工したものなど幅広い。最近は学校給食にも登場するまでになった。

 欧米でも認められるようになり、日本では生産者が増え、新しい特許が陸続と出て来ている。日本の場合は国産米のブランドはもとより、発芽技術が重視されているようだ。不耕起栽培など、その栽培面に力を入れている業者もいる。

 韓国では1980年から発芽玄米に関する研究が行われ、1993年から発芽玄米に関する特許が米国と韓国で取得されるようになった(東亜日報2000年3月21日)。韓国の場合は発芽技術は言うまでもなく、コメの銘柄や、無農薬、自然栽培などにも力を入れているようだ。

 中国にも波及している。東北三省の場合、遼寧省東港市糧食倉庫を例に取ると、2004年12月から日本の発芽玄米生産ラインを利用して生産し始め、年間700tを生産する。その70%は日本に輸出するそうだ。

 発芽玄米の生産では、玄米の質の均等性が求められる。未熟なものや割れ米などが混入していれば、発芽せずに腐るか汚染されたものになる。そこで、種子の厳密な選別と発芽率100%が求められる。

 これに一番適しているのが、日本のコメのようである。

 深市伊泰科学技術発展有限公司が販売している発芽玄米は、日本のコメを発芽させたものだ。台湾では日本の発芽玄米がそのまま販売されている。香港でも、日本の発芽玄米の加工品が多く販売されている。

 ところで、中国東北三省の一省の例に過ぎないが、日本市場を狙った黒龍江省の猛烈な稲作開田ブームが農民新聞(2001年7月9日)に紹介された。中国東北三省は冬の猛烈な寒さで病害虫が死に、開墾地は化学肥料の洗礼を受けていない。従って有機栽培に最適であるという。

 黒龍江省の水田面積だけで日本全体の水田面積を越えているそうだ。ここで生産されたコメが、1993年の日本の大凶作をきっかけに日本市場に流れて来た。コメの種類もジャポニカ種である。

 今後、諸外国とのFTAは避けて通れない。津波のように寄せてくる廉価の外国産米に、日本の農業経営者は対策に困っている。在庫はある。コメ離れが続く。そして減反。価格は上がる気配がない。

 一方、中国での日本産発芽玄米の消費に見られるように、上海など発展した地域に富裕層が急速に増え、日本の野菜、コメ、健康食を求める市場が膨らんでいる。「高いから買う」「日本産だから買う」「品質がいいから買う」といった層が、日本の農産物を購入するのである。

 為替にしても、中国経済発展で人民元を切り上げなければならないところまで来ている。そうすると、価格差も縮まっていくのである。

 中国をはじめとする東アジアの台頭、FTA交渉、東アジア共同体という言葉が、日々現実味を帯びつつあり、貿易の活性化によるコメの流動はさらに激しくなる一方である。

 その意味からすると、コメ市場はもはや日本国内ではないと考えた方がいい。もっと広い国際的視野で農業をとらえ、周辺諸国に負けないブランド米を、あわてることなく、着実に保持、育成すべきだ。

 日本にはその伝統があり、技術力があると私は思う。

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