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これまでの基準から離れて自分の力と責任で生きていく
小松 産業といっていながら、産業として成立している農業は、一割とか限定されますよね。限定されちゃうと、農水省なんかは、自分の領域が狭くなるわけ。分業化させながら、彼等の支配のテリトリーはでかく考えているわけ。だから現場は混乱するわけです。そして産業というのが頭にあるから、多くの農家は脱落だと思うわけです。
この間、兵庫で「儲かる農業経営」という講演をさせられたわけ。そのとき、一番儲かるのは公務員の兼業農家だといったんです(笑)。何もたんぽで働いて稼ぐ必要はないわけ。それは本人の考えですよ。俺は公務員やりながらね、それも農業経営、あるいは農家経営ですよ。むしろ「農芸」といったほうがわかりやすい。それでいいのだと。
昆 まったくその通りで、今や純粋な農村や農家なんてものはほとんど存在していないのですが、農村にいる元農家という人は、日本の中では今後もっとも生活の安定した階層になっていくと思う。今でもそうですが。むしろ、大変なのは農家でなく僕自身も含めた農業関連業者なんですよ。ましてや自分では何も作り出せないお役人や農協や農業団体は居場所なくなってきているんですね。寄生する先を失うわけですから。
むしろ、これからの世の中では暮らしも商売も農村の可能性は大きいわけですよ。そのことをもっと目ざとく気づいて、えげつなく…、えげつなくなくてもいいから、やろうよ、楽じゃないけど、おもしろいよ、と。そういうことって、もっといっていいんじゃないかなあと。だって藤田さんのところ、200億円なんてすごいじゃない。
藤田 離脱すればいいんですよ。離脱するというのは、自分の力で生きていくことだから、有機農業やるとなれば、農協から離れる、農薬会社から農薬買わない、肥料は自分の近辺の50キロ圏内から有機質を集めてきて堆肥を作るとか、農業資材は自分たちで業者を集めてきて、流通だって自分たちで構築する、買ってくれる人たちも自分たちで消費者を組織するとか。こうなってくると専門家だけの領域だけでは駄目で、モノカルチャーでは駄目なんですね。離脱するといってもアナーキーになるというのではなくてね。
小松 各地のいわゆる第3セクターを見てるとね、温泉掘って、それで客を呼ぼうといって、ホテルまがいのものを作る。誰も経営者がいないから3セクを作ってやるわけですよ。で、役場の町長が社長になって、もともと、地元に「経営者」がいないわけですよ。無責任理事会みたいなものを作っちゃって、人件費といえば役場の職員を出向させるだけ。これは農村のバブルだと思うんですね。そこにリゾート法などもからんでくる。農業をめぐる構造と同じで、こういうことが行き詰まってきたと思う。世間には出てこないからみんな知らないとは思うけど、住専みたいに出てきたら、選挙でおっこっちゃうと思うんだよね。町の金を使うときに、経営ということが問われるはずなのに、それが不在なんだ。
昆 そもそも補助金いくら落としても、俺がやるという人間が出てこないうちは。できやしないんだっていうことがね。
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