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【今年の市場相場を読む】
本質は「食べられる野菜」既成概念の見直しから新商材も オオバ・ソラマメ・ピーマン・パセリ
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第15回 1996年10月01日
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オオバ 飾りの需要だけでなく食べておいしい商品が需要を広げる
【概況】
オオバは、12月の年末需要を除けば、春から夏にかけて増大し、秋にはパッタリ需要が落ち込むというパターンを持った品目である。大部分を占める業務用需要をベースにして、一般の薬味需要が重なるからである。このパターンには近年変化がない。
東京市場での産地は、愛知(豊橋)のシェアがトップで年間で63%を占めてダントツ。茨城の25%で続くが、その他は泡沫産地である。あまりにも豊橋の存在感が大きいが、これはオオバは豊橋園芸がパイオニアであるためだ。数量的には、愛知が全国でもダントツのように見えるが、続く高知、大分、愛媛、佐賀、新潟、京都、福島なども、東京市場ではシェアは5%未満で存在感がないものの、これらの産地は、他地区や地場ではそれぞれ主産地である。
【背景】
とくにオオバが一般の品目と大きく異なる点は、需要が増えると価格は高くなり、需要が落ち込むと安くなるという面白い推移をすることだ。これは、その生産・出荷が市況に応じて、極めてキメ細かくコントロールされているためだ。一般に野菜類は計画的に生産されたとしても、よほどの暴落商状にならない限り、産地廃棄を含む出荷調整は行われないが、このオオバに関しては、それを実施していることを意味している。それだけ、オオバの産地問競争は秩序を持っているということもいえるのだが、所詮、いわゆる細かい品目であり、調整が行いやすいという側面もある。
【対応】
豊橋が代表するこれまでのオオバは、いわゆる業務用のツマ物的なものが最も商品性が高いといわれてきた。しかし、このオオバは食べたらおいしくないのである。確かに、まるで工場製造されたように規格がみごとに揃って、シソの葉とも思えないような偏平さである。しかし、食べるためのオオバならもっと若葉の状態でなければならない。そのほうが香りもいいし食感もいい。しかし、この時期のオオバはまるで縮緬のようだ。食味を取るか、見栄えを取るかである。もちろん、これからオオバがさらに末端需要を拡大したいのなら、食味を取る商品性を目指すべきだ。また、オオバの包装は小売店頭でも裸陳列されているが、これは不自然でかつロスも大きい。一部産地で始まっているが、束の個パックを行って鮮度保持を徹底したい。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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