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【今年の市場相場を読む】
本質は「食べられる野菜」既成概念の見直しから新商材も オオバ・ソラマメ・ピーマン・パセリ
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第15回 1996年10月01日
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ピーマン 目と頭で食べる緑黄色野菜 臭いがなく甘味出る品種を
【概況】
ピーマンは、果菜類の特徴である日照と温度に影響を受けるために、冬場に少なく、春から初夏にかけてがピークの品目である。夏場は一般的に高温すぎて生産管理が難しい。東京市場では、入荷のピークが5月、6月であり、単価はこの時期が一番安い。数量、単価の曲線はきれいに反転する。もっとも、春に入荷が多いのは、西南暖地に代わって関東産地に切り替わるからであり、夏場にも数量があるのは東北産が出荷されてくるからだ。
野菜商材としては非常に安定した品目で業務、家庭用ともに底固い需要がある。ただし需要弾力性は低く、少なくなれば高いし多くなれば途端に暴落する。昨年10月に過去の平均の半額以下まで暴落しだのは、平均より一割程度の入荷増となったから。
【背景】
ピーマンというのは、「目で食べる・頭で食べる」品目だといわれる。つまりおいしいから食べるというよりは、料理の青みとして、また体にいい緑黄色野菜だから、という理由のほうが比重が高いということである。よく調査される野菜の嗜好傾向から見ると、ピーマンはほぼ嫌いな野菜のベスト3に必ず顔を見せている。買い物をする主婦自身も好きではないが、家族の健康のために…、という発想で買われる野菜なのだ。だから需要としては、底固いのである。その点を前提にしないと、消費拡大や販促の発想がマト外れになる。
【対応】
宮崎産のピーマンが、恐竜をマスコットにして(ピーマンで作った恐竜)子供の関心を引こうとしているが、うまくないものはうまくないのだ。北海道で肉の薄いピーマンを「サラダピーマン」の愛称でアピールしようとているが、肉薄の分だけ臭いも少ないものの、うまくない。もちろん、現在の主産地は基礎的な需要に対応するために、数量を目安に生産を維持していきくべきだが、地場産地や新興産地は「うまいピーマン」というスキマを狙うべきである。これはあくまでも、甘くて匂わない生で食べられるというコンセプトのものであるべきで、現在のピーマン需要の一角に食い込もうというよりは、新しい品目としてアピールするくらいの発想転換が必要だ。肉厚で大型(現在のピーマンと輸入のパプリカの中間位の大きさ)で、色もグリーンよりは赤などが望ましい。外国種に候補はいくらでもある。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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