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【今年の市場相場を読む】
本質は「食べられる野菜」既成概念の見直しから新商材も オオバ・ソラマメ・ピーマン・パセリ
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第15回 1996年10月01日
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パセリ 周年型生産は業務用中心に 季節生産は美味しさ目指す
【概況】
パセリはほぼ9割が業務用需要だといっていいだろう。だから、年間入荷は東京市場で 2600~2700tで安定している。ただし、月別には春からは需要期(サラダの付け合わせ的な利用法)に入るためにやや増加し、1月、2月の冬の問は若干の需要減が見られる。また、産地の性格別にみると、東京では主産地(シェア6割)の千葉県は周年型産地、2位の長野県(シェア2割)は夏場から秋口にかけての季節型産地である。
この品目も、業務用需要が中心なだけに需要弾力性が低く、入荷の増減に価格が極端に反応する。また、その鮮度保持(葉が開かない状態を維持すること)の関係から夏場は産地が限定され、単価も高い。周年型の産地、東は干葉、西は福岡が安定供給型なのに対して、季節産地の長野産の出荷が不安定であることも特徴だ。
【背景】
東京市場での干葉、長野、福岡の役割分担と特徴は際立っている。干葉はとにかく主産地としての「量」がある反面、近郷産地である関係か鮮度保持にはそれほど気を使わない。そのため単価は低い(それでも出荷経費は安いからペイする)。長野産は高冷地の生産を武器に相場の高い時期に出荷できるために、単価も高いし、夏場の独占産地であることから、分荷も相場次第という面があり不安定。福岡は、東京市場への出荷シェアは大きくないが、遠隔地であることもあり、計画的でしかも完全な束包装を行うなど鮮度保持にも気をつかっているため、周年型産地であるにもかかわらず単価は高い。
【対応】
パセリの生産を行っている産地は、この3パターンの主要産地のどのタイプで生産、出荷を行うかがまず重要な点だ。どこの地域においても、パセリは確実に地場の業務用に一定の需要がある。だから、少量生産でも水耕などを導入して周年栽培すれば、確実な経営ができる。この周年にわたる業務用需要対応は、見栄えが最も重要な商品性である(食べる需要ではないから)。しかし、季節的な生産を目指すのであれば、「食べられる」パセリを作ることをお勧めする。広葉の状態でも柔らかく味があるパセリを、有機栽培的に生産できれば、季節野菜として一般消費にアピールできる。とくに、夏場は一種の「スタミナ野菜」としての位置づけも可能だ。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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