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新潟県中越地震で農業用ため池の詳細調査がいまだにできない箇所
- (株)結アソシエイト 代表取締役 松田恭子
- 第8回 2005年01月01日
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38ヵ所
昨年11月12日に農水省が発表した暫定的な集計結果によると、新潟県中越地震による農林水産業の被害額は1304億円で比較可能な過去20年間で最悪となった。
山古志村では取り残された約1300頭の肉用牛を、その大部分を飼育していた民間企業が独自に大型ヘリをチャーターし長岡市営牧場に移動したため、被害頭数は被災地域全体でも143頭に留まった。しかし、ヘリコプターで搬出できたニシキゴイは一部で、250万尾いたニシキゴイの半数は斃死し深刻な打撃を受けた。
また、この被害規模について、山古志村など道路状況により現地確認が困難な地区では航空写真から推計している。新潟県では11月11日から12月17日までに延べ2000人を超える土木職員が復旧工事に向けた災害査定作業(国がその被害を災害によるものと認定し、復旧工事のための事業費等を精査し、国の負担を約束する作業)を行っており、この結果によっては被害規模が大きくなることも予想される。
気になるのは復旧の状況である。農業集落排水施設については応急工事を終えており、水田パイプラインも12月末までに復旧が完了する見通しだ。しかし249カ所ある大規模なため池のうち49箇所は応急工事ができるか検討中で、38カ所は道路事情が悪く12月10日現在で詳細調査ができない状況だ。新潟県は米どころだが、棚田(傾斜度1/20以上の水田)の比率も全国よりずば抜けて高い。棚田にはため池に頼るところが多い。
新潟県内の一般製造業は操業度が9割以上回復しているが、農業では棚田の多さも手伝って、次年度の生産の可否はため池にかかっている。棚田の多面的機能という評価とともにそのリスクも浮き彫りになった。
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松田恭子 マツダキョウコ
(株)結アソシエイト
代表取締役
日本能率協会総合研究所で公共系地域計画コンサルタントとして10年間勤務後、東京農業大学国際食糧情報学科助手を経て農業コンサルタントとして独立。実需者と生産者の連携の仕組みづくりや産地ブランド戦略を支援している。日本政策金融公庫農業経営上級アドバイザー試験合格者。(株)結アソシエイト代表取締役。
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