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【Opinion】
農薬の不適正使用農家2%は食品産業としては大きな数字
- 「農薬ネット」主宰 西田立樹
- 2005年01月01日
11月4日に農水省が2003年の農薬の適正使用に関する調査結果を発表しました。毎年行われていますが、今回興味深い結果が出ているのだ紹介します。
今回は、調査した3820戸の販売農家のうち、80戸で何らかの不適正な農薬使用が認められたとのことです。約2%ですね。散布回数でみると、3820戸の農家の散布回数合計が約2万6600回に対して、不適正使用の割合が約0.4%ということです。
消費者から見れば「違反率が2%なんてとんでもない!」となるし、農家なら「案外少ないもんだな」と感じるんじゃないでしょうか?
それもそのはず、2003年は農薬取締法改正の影響で農家の意識が高まり、不適正使用が10分の1~100分の1以下に激減しています。
次に、調査対象農家から提供された農作物について残留農薬検査を行ったところ、基準値オーバーはゼロで、検出された事例でも基準値より1桁~2桁少ない数字でした。食品としての安全性には問題はないので、まぁ、ホッとするデータです。
でも、絶対数として2%の農家に不適正な使用があったというのは、他の食品産業と比べて多いと感じざるを得ません。こんなことがたびたびあるようでは、消費者を「安心」させることはできないですね。使用法を約束を守らない、あるいは守れない人の作った作物なんか、商品としての魅力はありません。消費者の信頼を裏切るような行為は、その個人や産地だけでなく、日本農業全体に影響を与えます。
不適正使用になってしまった原因を図2にまとめました。(3)-イの事例は相当気をつけないと間違うこともあるでしょう。また、(2)-アや(3)-アは作物の生長具合や病害虫の発生動向や天候によっては、わかっていてもそうしたくなる場面に出くわすかもしれません。よって使用回数が多く、収穫前日数が短い農薬が好まれる事になりますが、そればかりでは正しい防除ができません。
月並みなことですが、農薬の登録情報をしっかりつかんで、対応していくしかないでしょうね。
自分は適正使用しても周囲の農家が不適正使用したせいで、道連れで出荷停止、あるいは産地イメージダウンや風評被害を受ける恐れもあります。また、周辺の園地から農薬が風に運ばれて入ってくること(ドリフト)もあり得ます。情報交換したり、講習会を開いたりなど、地区の農家をリードしていくような活動が気鋭の農業者には求められます。
図-2 不適正使用の原因(農水省資料から要旨のみ著者が抜粋)
(1)使用できない作物への不適正な使用の事例
ア、使用した農薬と同一の有効成分を含有する他の農薬には、使用する農作物に適用があること
イ、使用した農薬には、同じ科に属する農作物に適用があること等により、適用があるとの思いこみから確認を行わなかった事例であった。
(2)使用時期が不適正であった事例
ア、農薬使用後の経過日数を確認せずに農作物を収穫し出荷した。経過日数の起算日を誤った農家もあった。
(3)使用回数が不適正であった事例
ア、同一の病害虫に対して、同一の農薬を繰り返し使用し、有効成分の総使用回数を超過した。
イ、同一の有効成分を含有する農薬を数種類使用し、有効成分の総使用回数を超過した。
今回は、調査した3820戸の販売農家のうち、80戸で何らかの不適正な農薬使用が認められたとのことです。約2%ですね。散布回数でみると、3820戸の農家の散布回数合計が約2万6600回に対して、不適正使用の割合が約0.4%ということです。
消費者から見れば「違反率が2%なんてとんでもない!」となるし、農家なら「案外少ないもんだな」と感じるんじゃないでしょうか?
それもそのはず、2003年は農薬取締法改正の影響で農家の意識が高まり、不適正使用が10分の1~100分の1以下に激減しています。
次に、調査対象農家から提供された農作物について残留農薬検査を行ったところ、基準値オーバーはゼロで、検出された事例でも基準値より1桁~2桁少ない数字でした。食品としての安全性には問題はないので、まぁ、ホッとするデータです。
でも、絶対数として2%の農家に不適正な使用があったというのは、他の食品産業と比べて多いと感じざるを得ません。こんなことがたびたびあるようでは、消費者を「安心」させることはできないですね。使用法を約束を守らない、あるいは守れない人の作った作物なんか、商品としての魅力はありません。消費者の信頼を裏切るような行為は、その個人や産地だけでなく、日本農業全体に影響を与えます。
不適正使用になってしまった原因を図2にまとめました。(3)-イの事例は相当気をつけないと間違うこともあるでしょう。また、(2)-アや(3)-アは作物の生長具合や病害虫の発生動向や天候によっては、わかっていてもそうしたくなる場面に出くわすかもしれません。よって使用回数が多く、収穫前日数が短い農薬が好まれる事になりますが、そればかりでは正しい防除ができません。
月並みなことですが、農薬の登録情報をしっかりつかんで、対応していくしかないでしょうね。
自分は適正使用しても周囲の農家が不適正使用したせいで、道連れで出荷停止、あるいは産地イメージダウンや風評被害を受ける恐れもあります。また、周辺の園地から農薬が風に運ばれて入ってくること(ドリフト)もあり得ます。情報交換したり、講習会を開いたりなど、地区の農家をリードしていくような活動が気鋭の農業者には求められます。
図-2 不適正使用の原因(農水省資料から要旨のみ著者が抜粋)
(1)使用できない作物への不適正な使用の事例
ア、使用した農薬と同一の有効成分を含有する他の農薬には、使用する農作物に適用があること
イ、使用した農薬には、同じ科に属する農作物に適用があること等により、適用があるとの思いこみから確認を行わなかった事例であった。
(2)使用時期が不適正であった事例
ア、農薬使用後の経過日数を確認せずに農作物を収穫し出荷した。経過日数の起算日を誤った農家もあった。
(3)使用回数が不適正であった事例
ア、同一の病害虫に対して、同一の農薬を繰り返し使用し、有効成分の総使用回数を超過した。
イ、同一の有効成分を含有する農薬を数種類使用し、有効成分の総使用回数を超過した。
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西田立樹 ニシダタテキ
「農薬ネット」主宰
企業で農薬の研究を行いつつ「正しい農薬の知識を身につけるページ」をネットで公開中。著書に「気になる成分・表示100の知識」「ダイオキシン100の知識」(いずれも東京書籍)など。
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