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Opinion

コメの品質と価格のバランス

  • コメ産業コンサルタント 田牧一郎
  • 2005年01月01日
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2004年のカリフォルニア稲作は、作付け面積の増加と豊作のダブルプラスで、平年を大きく上回る収穫量を記録した(作付面積は対前年比約15%増、単位面積当たりの収穫量は対平年比推定約10%増)。
 2004年のカリフォルニア稲作は、作付け面積の増加と豊作のダブルプラスで、平年を大きく上回る収穫量を記録した(作付面積は対前年比約15%増、単位面積当たりの収穫量は対平年比推定約10%増)。

 この現象だけを見ると価格は大暴落となるはずである。しかし小売価格は新米発売時期から下げてはいるものの、暴落はしていない。

 理由は簡単で、持ち越し在庫量が近年まれに見る低水準であったこと。そして輸出が堅調なことの2点による。

 2003年は作付面積の減少と不作によって生産量が減少し、モミ価格が暴騰した。結果として白米も高価格になったが、国内消費の大きな減少は起こらず、かつ海外から輸入も急増しなかった。輸出も平年並みに出ており、結果として持ち越し在庫量が大きく減少した。

 カリフォルニアのコメ業界にとっては、ある意味で幸運であった。作付面積減少と不作は生産者にとって大きな収入減になるはずだが、逆にモミ価格高騰によって収入減少は免れた。

 普通であれば競合製品が海外から輸入されるはずであるが、中国産米は不作により特定の国(日本などごく一部)を除いて輸出禁止措置が取られ、カリフォルニア米とは市場で競合しなかった。

 オーストラリアは、ここのところ続いている旱魃の影響で生産量が半分以下に落ち、従来の顧客であった地域でさえ輸出ができなくなっていた。

 中東諸国の中粒種輸入も活発になっている。これがカリフォルニア米輸出が好調の理由でもある。

 しかし、2003年に高騰したモミ価格は実質的に平年並みに戻っている。

 さて、2005年はどうなるのか。それぞれ稲作経営者の思惑があり、結果は6月に数字で出てくる。

 2004年のカリフォルニア米の作付面積は過去最高に近かった。水の供給量にも限界があり、2004年を越える面積には作付けできないだろうと言われている。

 つまり、どれだけ減少するかがポイントである。

 輸出好調とは言え、多くの現物を抱えているカリフォルニアコメ業界である。価格維持に不安を抱いているのも事実だ。作付けの行われる4月から5月までの、モミ価格相場が作付面積を左右することにもなる。

 そして気象条件がもう一つの大きなファクターになる。

 2003年の作付面積減少の原因は、前年のモミ価格低迷と同時に、春先の天候不順で雨が遅くまで降り続き、水田の播種準備作業ができずに作付け不能になったためでもある。2005年もこのような天候に悩まされないとは限らない。

 品種は例年通り早生中粒種が90%になることは変化がない。これはきわめて安定した販売ができる品種である。遅く種を播いてもそれなりの収量が確保でき、しかも倒伏に強く作りやすい。これに対して、中粒種良質米や日本品種の短粒種は、米国内の市場構造に大きな変化も考えにくく、2004年実績並みの作付けが予想される。

 短粒種は日本向けの生産も含んでいるが、最近は作付面積に急激な増減もなく、落ち着いた生産と販売ができていると言える。

 他に、特殊なコメとして無農薬米や香り米も小面積で栽培されている。もち米も日本向けを中心として安定した作付け面積がある。

 カリフォルニアのコメは国内そして輸出市場において、品質と価格のバランスの中で売れているとも言える。市場の変化に価格が対応できての販売だ。

 あたなの売っているコメの品質と価格(メーカー希望小売価格ではない)のバランスはどうだろうか?


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