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Opinion

シーズンオフ

  • いちかわライスビジネス(株) 代表 市川稔
  • 2005年01月01日
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プロ野球の選手は、一軍で活躍すれば年俸は跳ね上がり、一躍スターとなりますが、一軍に上がれないまま引退する選手もたくさんいます。
 プロ野球の選手は、一軍で活躍すれば年俸は跳ね上がり、一躍スターとなりますが、一軍に上がれないまま引退する選手もたくさんいます。

 逆に、メジャーリーグに挑戦し、活躍をNHKのニュースで毎日のように放映され、国民的スターに上りつめる選手もいます。

 さて、日米のプロ野球の違いで指摘されることの一つに、シーズン前のキャンプがあります。

 日本の場合は、自主キャンプという名の全体キャンプであり、球団主体の練習が待っています。そして、高校野球のように全体同じメニューで練習をしたりします。一方、メジャーでは、いきなりバッティング練習や、練習試合をします。

 そこで、大きな違いが出てきます。シーズンオフになってから、どういう生活をしていたか?そこに、根本的な違いが現れます。

 全体キャンプで「練習をやらされる」という意識では、とうてい上にはいかれませんね。また、シーズンオフに、基礎体力をしっかり鍛えておかないと、ケガをします。

 さて、農業の場合に置き換えてみましょう。

 コメは、時期の違いはありますが、春から秋にかけて半年後が、栽培期間ですね。栽培に関してみれば、残りの半年は、シーズンオフになるわけです。

 そこで問題です。シーズンオフになにをするのか?それぞれ、研究テーマを持ち、それを究めて行く仕事があるはずです。

 たとえば、収量を増やすにはどうするか?食味を上げるには?肥料、農薬の設計について、もっと良い方策はないか?効果的な栽培時期、作業体型をどう計画するか?作付け品種の選定は?販売チャネルをどのようにして行くか?

 あるいは経営の試算、栽培面積、収量、販売価格、総収入、栽培経費、機械の購入、償却費など、やるべきことは、たくさんありますね。

 そういう試算をしながら、どこを、どう変えれば、収入が増やせるかを考えます。

 栽培面積は、そう簡単に変えることはできないので、収量と販売価格によって、総売上は自ずと決まってしまいます。そして、出て行く経費を削減することが、最も収益に直結します。

 いちばんの経費は、機械の償却だと思います。現金出入りであるローンの支払いと、減価償却とは別物です。

 1000万円単位のコンバイン、田植機、トラクタ、乾燥機など、1軒の農家で、機械設備だけで億に達するところも珍しくありません。これらを2軒3軒で共同利用するだけで、相当のコストダウンが図れます。

 また、自分の経営、栽培技術のことですが、一人の体験や親からの継承では、情報量に限りがあります。

 仮に30年コメ作りを経験したとしてもたったの30回です。しかし、たとえば、それなりの栽培技術を持った人5人と情報を共有すれば、情報量も5倍になります。また、インターネットを使って情報共有がしやすい時代になりました。

 ややもすると、先輩達は、自分の経験と勘で農業をやってきました。それも大切なことですが、記憶というものは、忘れるものです。

 「記憶から記録へ」自然環境、気象情報と、栽培技術の関係を記録して行けば、次なる方策が必ず見えてくると思います。それらの情報を共有する仲間がいれば、技術の飛躍的な向上が図れることでしょう。

 これからの日本農業は、特別な産物を、特別な栽培で、特別な販売チャネルで、自らの責任で負う人が力を発揮すると思います。

 人生を変えるのは「出会い」です。シーズンオフは、師と仲間を求めて歩くことも大切ですね。

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