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特集

トラブル防いでコストダウン 実践トラクタ・メンテナンス

日々の「ひと手間」が愛車を長生きさせるセルフ・メンテナンス術  トラクタは結構頑丈に出来ている。とは言え、あまりに雑な使い方をすればガタが出るのは当り前。平らな道を走る自動車と違い、泥や砂埃の中といった悪路中の悪路で重い作業機を引っ張るトラクタは、日常的に「埃を払う」「グリスを充てんする」といった簡単な作業を心がけることで、致命傷となりうる現象を未然に防ぐことができる。 異常を感じてから農機具店に駆け込んだのでは、修繕に大きな額が必要になる上、作業適期を逃してしまうことによる収入減も痛い。 農業経営者にとって、トラクタ購入は大きな投資であったはず。長く使えることによる経営効果は高い。つまりメンテナンス力の向上は、コストの低減に貢献し、経営を安定させることにもつながる。 購入時に販売店が説明してくれたメンテナンスを、果たしてどれだけの人が実行しているだろうか。メンテナンスは「余計な手間」ではなく、確実に利益に貢献する行為である。 農閑期にこそ是非「取扱説明書」を読み返し、自分でできる「ひと手間」を確認しいて欲しい。(取材・文:小山明子/野村大樹/長田幸康)

1.エンジンまわり


悪路中の悪路を走行し、過酷な作業を強いるトラクタは、滅多なことでは壊れない頑丈な構造になっているが、エンジンを持つ機械である以上、いくつかメンテナンスを心がけるポイントがある。

【ファンベルト】

 エンジンの駆動でダイナモ(発電機)やウォーターポンプを回すファンベルトは、メンテナンスの重要な項目だ。ベルトが長時間の稼働により緩んでくると発電力が落ち、バッテリーに電力をチャージできなくなり、最悪の場合はオーバーヒートの原因にもなる。シーズンの初めには必ずたるみをチェックしたい。

 張り方はいたって簡単。例えば、ジョンディアのダイナモ。このタイプは、ダイナモの上下それぞれにあるネジを緩め、ダイナモを移動させることでベルトを張る。右上の国産トラクタは、ウォーターポンプ側に調整ネジが付いているのが分かる。

 最近の外国製トラクタの中には、自動スプリングでベルトの張りを自動調整するものもある。


達人農家のここがPOINT
●オイル交換の時にベルトに触ってみて調整する。(篠原氏)
●純正よりサイズの大きいダイナモを取り付けているため、ベルトの摩耗を特に注意している。朝余裕がある時に見ることが多い。農薬散布後は、薬剤が付着して劣化の原因になるので注意している。(岩下氏)

【ラジエーター】

 現在のトラクタは、ヨーロッパの一部の車を除き水冷式。そのため、エンジントラブルの原因のほとんどは、ラジエーターまわりに集中する。

 ラジエーター内のクーラントつまり冷却水は、鋳物製のエンジン内を通ってエンジンを冷却するため、時間と共にエンジンのサビが回りドロドロになってしまう。

 そのためクーラントの交換は2年か3年を目処に行いたい。外国製トラクタは、排水用のドレインプラグが複数付いてる場合もあるが、国産車のほとんどはクーラントを1カ所に集中させる仕組みになっており、作業はより簡単だ。

 一般的には、ラジエーター前にあるオイルクーラーとコンデンサー(クーラーガスの冷却装置)までを総称してラジエーターと呼ぶが、この部分は非常に密集している。この間には何枚かのコアと呼ばれる網状の心部が挟まっており、ここがゴミやホコリで目詰まりを起すと冷却機能が低下し、ミッションオイルの温度上昇やオーバーヒートにつながるため掃除はマメにしたい。ボルト2本程度(工具を使わないものも)でスライドさせることができる。できればエアダスターでホコリなどを飛ばすのが望ましいが、なければ洗浄機の水圧を弱めにして代用してもよい。特に一番手前の防塵用の網の掃除は、徹底すべきだ。


達人農家のここがPOINT
●クーラントは2~3年に一度交換。トラクタは何台もあるので、順番に交換する。(篠原氏)
●ケミカルを使っているのでそれほど汚れないはず。掃除はエアでする。作業に合わせて、汚れそうな作業をしたときには念入りに行う。(岩下氏)
●クーラントに入れるケミカル類はワコーズを使用。いろいろ試してみるのが好きで、クーラント復活剤なども使ってみたりする。国産トラクタはラジエーター水が少なく、目詰まりしやすいように感じる。(渡辺氏)

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