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【津軽・黄金崎農業通信】
加工用ダイコン収穫最盛期の黄金崎農場
- (有)サンアップル醸造ジャパン 社長 木村慎一
- 第5回 1996年12月01日
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加工用ダイコン収穫最盛期の黄金崎農場
11月12日、青森県の西のはずれ深浦町にある、ここ黄金崎農場にも、今冬初の冬将軍がやってきました。冷たい北西の風と雪で農場周辺は完全に冬の装いとなってしまいました。
13日の最高気温は2・2度ですから、どのくらいの寒さか想像できるかと思います。深浦町から約60キロ離れた岩木山農場は、標高が300m弱ほどのところにありますから、最高気温がプラスとならない真冬日です。
こんな寒さの中でも、11月の主力作業であるダイコン掘りが行われています。
今年のダイコンは収量が良いだけに、収穫作業に時間を要しています。収穫機械がまだ実用化されていないため、人力での手掘りです。17人ほどの女性たちで掘りとっていますが、10aに2人ほどかかりますから、1日lhaほどの作業量です。中には、一人で8a(4,500本)も掘りあげる人もいますが、慣れない人もいるため、均すと、この程度の収穫面積にとどまっています。
掘った後は、コンベアーを通してトラックに積み込み、加工(塩蔵処理)場に運びます。この運搬工程は、主に男たちの手にかかっています。
加工場では、女性12人、男性2人がかいがいしく働いています。大型ネッ卜で加工場へ持ち込まれたダイコンは、一晩、タンクに塩蔵します。翌日、ローダ(リフト)でタンクから出して、機械で洗浄、選別します。こ。の作業では、1時間当たり10t(1万本)程度が処理されています。選別は「大」「中」「小」「細」「クズ」の5段階に分けています。この規格別に再び1~2日、塩蔵してから漬物メーカーヘ出荷することになります。
2段階に分けての塩蔵は、ロスはありますが、塩分がダイコン全体にゆきわたって品質が向上するので、この方法を採っています。作業効率よりも品質アップを優先しているのです。
毎日、10tトラックが3~4台、当加工場から群馬や福島などの漬物メーカーを目指し出発しております。このようにして、ダイコンは収穫、加工処理されているのですが、農場のダイコンは、品質、形状の良さとともに、甘さも強いと自負しています。それが、漬物メーカーの信頼も得て、今年のような生ダイコンの安値の中でも、契約に基づく安定した販売につながるとみています。
無農薬ダイコンにも挑戦
消費者が昨今、食品への健康・安全志向を強めていることを背景にして、漬物メーカーから低農薬、あるいは無農薬のダイコン提供を求められています。これに対応して、我が農場も大幅な減農薬や完全無農薬栽培に取り組んでいます。
その減農薬栽培のダイコンを原料にした「きざみたくあん」が神戸市のコープこうべで販売され、大変高い評価を受けているとのことで、心強く思っています。その製品袋には「青森県西津軽郡黄金崎農場で減農薬栽培した、歯ごたえの良いだいこんを使い、本かつおとかつおエキスで風味良く仕上げました」と印刷されており、私どもも真心を込めて農産物を生産しなければと、改めて肝に銘ずることにもなります。
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木村慎一 キムラシンイチ
(有)サンアップル醸造ジャパン
社長
1950年、青森県生まれ。4Hクラブの仲間とともに76年、農事組合法人黄金崎農場(現・⑭黄金崎農場)を設立。88年、青森県青年農業士会会長に就任。2001年、青森県農業経営士会会長に就任。05年、黄金崎農場を退社し、⑰サンアップル醸造ジャパンを設立。07年、ウクライナで大豆栽培に携わるも、11年に撤退。12年、ミャンマーとロシア(ウラジオストク)で農業指導に当たる。
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