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過剰の対策、欠乏の克服

土壌pH値は土と作物にどんな影響を与えるのか

 とりわけホウレンソウのようにpH=6.0以上が適正域である作物は、敏感に反応します。土壌酸性条件下におけるアルミニウムそのものの害作用は、大変大きいものです。


土壌酸性化による害作用―その2

 さて、土壌酸性化による鉄とアルミニウムの溶け出し(これを「活性化」と呼びます)が起きることで、リン酸成分の効き方が悪くなったり、アルミニウムの害作用そのものが問題になると述べました。しかし、他にもまだまだ障害を引き起こしたり、あるいは逆に酸性土壌を好む植物に適した状態をつくり出したりもします。

 その障害とはカルシウムとマグネシウムの供給不足です。これは土壌酸性化の害作用として一般によく知られていることですが、意外と理解されていない部分を現場で感じることがあります。

 カルシウムとマグネシウムは同じような性質の成分と思いがちですが、カルシウムは植物体内では移動することがなく、マグネシウムは古い組織から新しい組織に移動できるという、大きな違いがあります。

 カルシウムは植物が細胞分裂するために必要な元素であり、これが一時的にでも供給されないと、新しい組織は崩壊してしまいます。トマトの尻腐りやハクサイの芯腐りがその例です。このような症状までいかなくても、新しい細胞分裂の盛んな組織は円滑に成長できません。このことは、根の生育を観察するとよく分かります。

 ホウレンソウの適正pH域は6以上ですが、pHが6以下のところでも育つものです。しかし、その根を調べてみると先端が褐色になっている場合があります。これは成長点が障害を起こしているためです。火山灰土でのアルミニウム活性による害作用とカルシウムの供給不足の両者が働いて、作物の生育を妨げているのです。


まずは測定を

 土壌pH適正が、現場できちんと守られていない理由、それは実際には測定していないのに「多分このくらいだろう」という判断で進めてしまっていることです。

 また、日本の畑はカルシウム施用によって、もともとの酸性を改良しようという動きが活発に推進されましたが、同時にバランスよく施す必要のあったマグネシウムはなおざりにされ、マグネシウム不足の高pH土壌ができてしまいました。

 こうして土壌pHと作物への影響と題して述べてきても、解決しただろうと簡単に片付けられているような問題も、手付かずどころかますます歪みを生じています。

 とにかく自分の畑のpHを測ってみてください。

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