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田牧一郎のカリフォルニア稲作便り

来年の計画のために今年の反省を、今年の反省のために調査・分析・データの蓄積を

今年の収穫は終わりましたが収穫量が期待より低かったのでがっかりしています。まだ統計数字は発表されていませんが、田んぼ 感覚ではエーカー当たり75cwt(1cwt=50kg、10a当たり乾燥モミ840kg)程度が平均になるのかなという感じで、平年はだいたい85cwtですから10%以上ダウンしてしまったわけで、とても大きな打撃になります。
 今年の収穫は終わりましたが収穫量が期待より低かったのでがっかりしています。

 まだ統計数字は発表されていませんが、田んぼ 感覚ではエーカー当たり75cwt(1cwt=50kg、10a当たり乾燥モミ840kg)程度が平均になるのかなという感じで、平年はだいたい85cwtですから10%以上ダウンしてしまったわけで、とても大きな打撃になります。


反収が価格に反映しない


 反収が減ったら流通がタイトになって販売価格以高騰す器のではと思いがちですが、残念ながら簡単にそうはなりません。今年は作付け面積が対前年比で13%ほど増加していますので、10%の反収ダウンでも総生産量は昨年よりも多くなってしまいます。また、世界的には穀物の需給がタイトになっていいるのですが、カリフォルニア米の価格は決して上昇していません。逆にここ数年間の高値が少しずつ調整され、更に低い処に向かっているように見えます。

 生産者の販売価格はだいたいが作付けの前に契約していますが、最近は販売会社の販売利益に応じて生産者にモミ代金が支払われる仕組みの「プール清算払い」契約が多くとられています。これはベース(最低価格的なもの)は設定してあるのですが、生産者はそこからどれだけ上乗せをもらえるかを期待しながら生産しています。つまりモミの買い手である精米業者や農業協同組合がそのコメを高く売り、どれだけ利益を出したかによって、生産者の利益も左右されることになります。

 今年のコメがどのように売れるかは、これからの各社の販売活動にかかっているのですが、あまり大きな期待は持てないような雰囲気です。

 私のところの生産も大きく期待がはずれてがっかりしています。

苗立ち数の減少


 さて反収が上がらなかった原因ですが、一つには播種時期の降雨による副作用とも言える現象が影響したことです。

 水田に10~15cmの水を溜めてから播かれた種は、水の中で発芽・発根と生育して行きますが、生育時の水の深さによって最終的な苗立ち数が決定されます。

 種の水中に潜っていることのできる期間は限られており、本葉の展開が始まる頃には水上に出ていることが生育を良くする条件になります。

 そのためには播種後一週間程度で落水し、苗立ちを良くしてから再度水を入れる方法が多くとられるようになってきました。

 この時期、本来であれば播種前に入れられた水は播種後徐々に減少し、一週間程度は水の移動を止めて水温を確保し、苗の成長を助けることになっています。しかし今年はこの時期に50mmを超える雨が降り、そのまま水位が上昇してしまい、発芽はしても水の中で腐ってしまったものが多く発生してしまいました。

 単純に水位を下げれば良かったわけですが、初期の水田に使用する除早剤は約3週間排水することが禁止されており、我々は剤の効果を最大限にするために水を深めに溜め、補給のための水の移動を最小限にするようにしています。これが今年は結果を悪くしてしまいました。

 苗立ち数の少ないことが予想外に収穫量を減らした原因の一つです。

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