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編集長インタビュー

日本農業の瀬戸際をチャンスと見る経営力と野心のある農家の登場を望む



昆 小誌では、府県の読者にネットワークを組んでもらい、ポテトハーベスタを、使用時期をずらして共同利用することで、カルビー(株)にジャガイモを出荷する試みに取り組んでいます。こうした企業とのコラボレーションには、今後かなり可能性が見出せると思うのですが。

須賀田 企業とコラボレートすることで、資金面やマーケティング、販売面での農家側の負担が軽減されますので、一つの方向性を示していると言えるでしょう。食品産業との連携についても、担い手育成のために支援したいと考えています。
 食品会社や商社の人から聞いた話ですが、企業が直接生産にかかわるのはリスクがあるし、技術面では農家に任せたい。その上で、南北に長い日本列島の気候差を利用して、大量の農産物を流通させるという構想があるようです。こうした動きは、安定した市場を求める農業経営にとってチャンスなのですから、もっと積極的に取り組んで欲しいものです。


昆 しかも今、国内市場は国産農産物を求めていますし、海外にも日本の農産物を通して、戦後の日本人の消費生活を追体験したいという人たちがいる。「日本農業を守れ」と壁を作るのではなく、農業経営者と食産業が連携して外に向かうことを考える時期でしょうし、そうすれば結果的に食料自給率も上がるはずです。

須賀田 おっしゃる通りです。安全・安心の観点からも、付加価値の点からも、国産農産物は見直されていますし、先日アンケートをとったところ、食品産業の過半数が国内で採れた農産物を使いたいと答えました。そうしたニーズに合った供給ができれば、結果として自給率は上がるでしょう。

昆 自給率は政策的誘導ではなく、商売人としての農業経営者の努力の結果として上がるんだと。そこまで農水省の局長に言っていただくのは、無理ですか。(笑)

須賀田 (笑)中長期的には考えて欲しいですね。農業が衰退するか、そうでないかの瀬戸際でもありますから、本当によく考えて欲しいです。

 私たちも生産者の方々も、これまでは、どうしてもコメ中心で考えてきました。しかし今後は生産者にも発想を転換して欲しいし、すでに野心的な農家は、付加価値の高く、日本の高い技術力が発揮できる花卉や、果樹、イチゴといった品目に移行しています。これらの農作物に政府の保護はまったくありませんし、市場だけが相手です。そういう姿勢が起業家的な農家への成長につながるのだし、産業としての農業の自立につながっていくのだと思います。

(まとめ・秋山基)

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