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田牧一郎のカリフォルニア稲作便り

来年の計画のために今年の反省を、今年の反省のために調査・分析・データの蓄積を

高温・高湿度による障害


 北カリフォルニアは例年にない暑さを経験しました。

 私の所でも最高・最低気温を記録しているのですが、今年は6月1日に40度を超えてから8月23日までの84日間中の59日が40度を超えました。

 例年だと最低気温が低く、低温による不稔がおこり、登熟歩合を下げて反収を落とす原因になるのですが、今年は逆にこの高温による障害で受粉の障害が出たと言われております。

 稲の生育に影響を与えたと思われる天候の異常はもう一つあります。

 湿度が高かった事で、連日のテレビニュースの中の天気予報担当者も「湿度が高く蒸し暑い」と何度も表現していました。こちらでは蒸し暑いと表現されても雨が降るわけでもなく、カラッとしていたと感じました(今年は5月17日に雨が降りてから、9月12日にパラパラと数粒雨が落ちるまで、全く雨量は観測されませんでした。その後、 10月29日に約30mm程の雨量が観測されるまで、全く雨は降りませんでした)。

 しかし、一部の地域では、今年は穂首いもち病が発生したと発表がありました。穂首いもち病は今まで発生が見られなかったので関係者は心配していますが、専門家はやはり例年にない高湿度が原因で広まったのではないかと言っており、約千haに発生が観測されたと報道されました。


品質について


 反収は低かったのですが、ご飯にして食べたときの新米のかおり・粘り・歯ごたえ・甘みなど、味として感じるもののほとんどが日本の国産米と遜色なくできていると思います。しかしこの評価は私の所のコシヒカリと新しい品種、そして今年からいくつかの地域で意欲ある生産者が栽培した短粒良質米に限っての事です。

 今年から食味計による成分分析が簡単にできるようになり、その分析でも日本の国内産米と同様の数値が出ています。それらのデータと栽培方法などとの関連の解析、そして次年度の計画、と今年の冬の勉強も忙しくなります。


食味に影響する「臭い」


 収穫時期におこるコメの品質および食味に対する問題点ですが、今年も解決はされませんでした。以前から一部関係者の間で問題視されていた「臭い」の問題です。これは日本でも起こり得ますが、ほとんど解決されていると忠います。

 こちらの収穫時期の気象条件や刈り取り後の生モミの処理の仕方など、いくつかの原因が絡んで最悪の場合は強い発酵臭を発生し、ご飯として食べる事ができなくなってしまいます。今年のコメにも残念ながらこの発酵臭が一部に発生しています。9月になり、収穫とその後の対応を計画していたとき、すでに予想できていたのです。悪い予想が的中してしまいました。

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