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女の視点で見る農業経営

“仕事”と“結婚”、私たちはそれが一致したけれど・・・

 今でこそ、研修生の身分の真下さんだが、今後は彼とその家族の福利厚生面を考えて、法人化も検討中である。そしていずれは彼の協力も得て安定供給可能な新しい作物にチャレンジしたいとも考えている。さらに真知子さんが今後の課題として検討しているのは「重労働からの解放」だ。夏の収穫期、重いキャベツやハクサイを出荷し続ける作業は、体にかなりの負担を強いる。

「あのキツい部分さえなければ、いい仕事だと思います。いずれは、もっと楽にできるやり方を探していきたい。それこそ若い女の子にも働いてもらえるような形で。法人化して会社組織にするとかして、楽で安定的な経営を目指したい」

 と将来の展望を語っている。

 さらに真知子さんは、こんなことも言っている。「農家の女性ばかりが、いつまでも仕事と結婚がセットになっているのは、おかしいよね」

 まさにその「セット」の人生を、自ら選択した真知子さんだが、それは生涯の伴侶として博文さんを、一生の仕事として農業を選んだから実現したまでのこと。この二つが「偶然」もしくは「無理やり」一致しない限り、女性はなかなか農業に参加できない、この構造に限界がある。

 女性の職業選択の幅がこれだけ広がっている中で、老舗の商家や一部の自営業を除けば「結婚と仕事は別物」というのが、ごく一般の女性たちの考え方だ。そんな中で農業ばかりがいつまでも、結婚と就職をセッ卜の人生を要求し続けている。これでは仮に非農家出身の独身女性が、「ちょっと農業を……」と思ったところで、二の足を踏んでしまうのは無理からぬことだろう。「ちょっと」のつもりが、年がら年中「嫁に、嫁に」の目で見られてしまう。体力的な辛さよりも、むしろそんな空気が、却って女性たちを遠ざけているのではないだろうか。

 だからといって「農業」そのものは、決して女性に不向きな仕事ではない。「職住一致」のライフスタイルや、「命を育む」といった本質的な部分も含めて、常に他の職種にはない魅力の輝きを放っているのだから。

 これから農家側かシステム的にも、精神的にも門戸を開けば、独身女性はもっと気軽に、既婚女性はもっと手軽に農業に接することができるはず。その中から「天職」としての農業に目覚める人がきっと現れる。「嫁」の一本釣りをするより、その女性が新しい「経営者」として伸びてゆけばいい。真知子さんに出会って、そんな「新しい女性経営者」の出現を夢見てしまった。

(取材/文・三好かやの)

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