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特集

韓国トラクターの実力 「低価格」だけではないユーザー評価の高さ 


 ただし、デドンはすでにはクボタとの提携関係を解消している。実際2002年には、両社が競合関係にある米国のカリフォルニア州連邦地裁で、デドン製トラクターの意匠に関する裁判が行われた(訴訟は今年8月末に取り下げらた)。

 また、大型については、デドンがフォード(ニューホランド)、クッチェがジョンディアなど欧米系トラクターメーカーの技術を導入している。

 日本でこそシェアは小さいものの、すでに韓国のトラクターメーカーは北米および豪州市場において日本メーカーの強力な競争相手となっている。

 それにもかかわらず、これまで日本で市場を広げられなかったのは、メーカー間の契約問題がある場合を除けば、むしろ日本国内の事情が大きい。

 その第一の理由は、我が国の農機流通がトラクターメーカーの系列下にあり、販売店が独自に韓国メーカーと関係を持つことに抵抗があるから。韓国トラクターが目立ち始めたのは、農業資材の専門業者「農家の店しんしん」(アイアグリ(株))、北海道の中沢機械店、諸岡など、農機業界のアウトサイダーたちや外車並行輸入に慣れた業者が韓国製トラクターを扱い出したことによる。


プロの時代のトラクター


 さらに、我が国では農業機械が家電品や乗用車と同様な耐久消費財的感覚で普及してきたこととも関係する。農機販売店は産業機械の販売者ではなく、暮らしの手段としての民生機械を扱う業者であったのだ。農家もまた、経営手段を選ぶ「経済合理」においてではなく「所有の満足」において農業機械を購入してきた。このような農業機械の販売が可能だった背景には、高い農産物価格や農業保護が存在した。

 しかし、農業を産業として考える農業経営者たちにとってそんな時代は終わっているはずだ。少なくとも事業として農業に取り組む者が、所有の満足で機械選びをできる時代ではない。

 アイアグリ(株)の玉造社長は、「韓国製品を販売開始した当初、クレームの山に悩まされた。しかし、やがてその理由が分かった」と言う。

 そのクレームの理由とは、機械としての本質的欠陥ではなかった。日本のメーカーであれば必ず実施するであろう工場出荷時の製品検査が、韓国では徹底されていないのだ。そのため、ネジの締め方が甘かったり、ミラーが左右逆についていたりする。販売時にそのチェックを徹底するようにしたらクレームはほとんどなくなったそうだ。

 エンジンがかからないとすぐに農機店のサービスマンを呼び、バッテリーの線をつないでもらうような農家が存在できるのは世界でも日本の農業界だけだ。

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