ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

土門「辛」聞

農家・非農家・株式会社の区別は必要ない


 そのSさんと補助金の見直し、つまり「直接支払い」のことについても話し合ったことがあった。Sさんの話は実にフランクだった。今思い出してみると、とてもポイントを突いているのである。

 「直接支払いは、下手をすれば、モラル・ハザードに陥ってしまいます。総額は、5000億円ぐらいにならないと実在感が伴いませんね。最初は畑作です。次いでコメですが、コメ政策の見直しと絡めるので実施は2年後になるかも。それに補助金をどういうルートで出すかも検討課題ですね。農協経由だけはやめて欲しいですね」


白猫と黒猫を区分けしない 働かない猫に餌を与えない


 直接支払いには、国民から非難ごうごうだった補助金バラマキをやめ、ネズミを獲らない猫にはくれてやらず、ネズミを獲る猫に補助金を集中しようという狙いもあるようだ。

 問題はどうやって猫を分類するのかだが、一つの目安として、耕作面積の多寡によって決めるという構想が農水省内から漏れてくる。曰く「4ha」とか。これに対して零細経営農切り捨てに反対する農業団体は、「零細農も対象に」とアドバルーンを上げている。

 両者のガチンコ勝負は、秋以降のことになるが、農水省は、強くたくましいニッポン農業を築き上げるという気持ちをぜひ初志貫徹して欲しいものである。

 そのSさんの部屋を辞した後、旧知の経営局幹部、これまたSさん(ビッグSさん)に出会った。やはり「見直し」が話題になり、筆者が一人でしゃべりまくった。

 「施策と補助金の集中、すでにやっているのではありませんか。たとえば補助金や農林漁業金融公庫の低利融資は、大規模経営の農業法人や認定農業者に集中していますよ。

 でも農業法人の多くが、『芋がら木刀』みたいな軟弱経営だということを知っておられますか。図体はデカイが中身は空っぽという意味でね。餌(補助金)はたらふく喰うのにネズミは獲らない、いや獲れないんです。そんな連中に、お国が日本農業の担い手だともてはやしてきたことが、ある意味では失敗だったのです。

 大規模農家が加入しているプロ農家の集まりでも、コメの関税額も知らないお粗末な連中があまりにも多いんです。技術レベルも低く、一発肥料を使ったお手軽農法をやっていますよ。こんな手合いに、施策と補助金を集中するのはザルに水を流すに等しい所業です。ニッポン農業はオールカマーにしないと、本当にどうにもならないところにまで落ちてしまいます」

関連記事

powered by weblio