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連続して同一の作物を作付けする結果から発生する障害ということで連作障害と呼び、仕方のない現象として考えてきました。
しかし、詳細に現場での調査を行っていくと、単純に連作することだけが原因ではなく、土壌や施肥に対する生産者の考え方に誤りがあり、これが連作をより困難なものにしている例が多くあります。
まず、施肥量や施肥時期、肥料の種類の不適が原因で起こる障害があります。
この具体例としては、肥料の過剰施用からくる塩類障害があげられますが、塩類濃度の高まりは、単に根の腐りに結びつくだけではなく、野菜などの作物生育に必須の石灰成分やホウ素成分の吸収阻害に直接結びつきます。
施設園芸などでは、年間に3作も作付することも珍しくなく、一回の少しの過剰施肥が繰り返し行われることとなり、栄養生理障害を多く発生しています。
この事柄については、今までも何回か紹介してきましたし、これからも多面的にこの問題を扱っていきますので、今回はあまりふれないこととしますが、この施肥法の誤りによる障害までも連作障害という便利な表現で片付けていることも事実です。
連作障害を誘因する人為的誤りを明確にするために、ここでは連作障害を正面から検討してみます。
まず、連作とは何を言うのかということですが、同一種または近縁の種を繰り返し作付するということであり、障害とはこのことが原因となり特異的に起こる収量低下、品質低下あるいは生育不能となることと言うことができると思います。
そして、この連作障害の要因を5つに分けてみると、
(1)土壌養分消耗説
同一作物を栽培し続けるということは、土壌中からある特定の養分を吸収、収奪することとなり、これが生育障害となる。
(2)土壌反応悪化説
特定の養分を吸収してしまうことから、土壌の塩基バランス、pH等が変化し、これが作物に不適となること。
(3)土壌物理性悪化説
連作体系は、土壌耕起作業から収奪作業まで同一機械による同一作業であるために、土壌の圧密化、膨軟性の劣化、排水性の悪化などを進めてしまうことになる。
(4)毒素説あるいは排泄物説
排泄をするものは、動物のみではなくて、実は植物も根からかなりの排泄物を出します。これは、生理現象として植物体内の養分吸収の終わったものを対外に出すという目的と、もう一つにはアレロパシーとしてのとらえ方があります。ある植物の出す物質が他の種類の植物の生育を阻害する場合と、自家中毒作用として自分自身の生育に害する場合がありますが、連作によるものは自家中毒ということになるわけです。
(5)土壌微生物説
作物の根の影響を土壌が受ける範囲を根圏といいますが、この根圏域では、他と違いものすごく微生物の数や種類が多いのです。そこで、同一作物を栽培してしまうと、その土壌中の微生物相が片寄ってくるということとなり、微生物相の片寄りは病原菌の異常繁殖にも結びつくことでもあり、また線虫類の特定の種類が増えてしまうことでもあり、根からの分泌物が連作により同一であり続けるとその悪循環を助長することにもなります。
しかし、詳細に現場での調査を行っていくと、単純に連作することだけが原因ではなく、土壌や施肥に対する生産者の考え方に誤りがあり、これが連作をより困難なものにしている例が多くあります。
まず、施肥量や施肥時期、肥料の種類の不適が原因で起こる障害があります。
この具体例としては、肥料の過剰施用からくる塩類障害があげられますが、塩類濃度の高まりは、単に根の腐りに結びつくだけではなく、野菜などの作物生育に必須の石灰成分やホウ素成分の吸収阻害に直接結びつきます。
施設園芸などでは、年間に3作も作付することも珍しくなく、一回の少しの過剰施肥が繰り返し行われることとなり、栄養生理障害を多く発生しています。
この事柄については、今までも何回か紹介してきましたし、これからも多面的にこの問題を扱っていきますので、今回はあまりふれないこととしますが、この施肥法の誤りによる障害までも連作障害という便利な表現で片付けていることも事実です。
連作障害を誘因する人為的誤りを明確にするために、ここでは連作障害を正面から検討してみます。
まず、連作とは何を言うのかということですが、同一種または近縁の種を繰り返し作付するということであり、障害とはこのことが原因となり特異的に起こる収量低下、品質低下あるいは生育不能となることと言うことができると思います。
そして、この連作障害の要因を5つに分けてみると、
(1)土壌養分消耗説
同一作物を栽培し続けるということは、土壌中からある特定の養分を吸収、収奪することとなり、これが生育障害となる。
(2)土壌反応悪化説
特定の養分を吸収してしまうことから、土壌の塩基バランス、pH等が変化し、これが作物に不適となること。
(3)土壌物理性悪化説
連作体系は、土壌耕起作業から収奪作業まで同一機械による同一作業であるために、土壌の圧密化、膨軟性の劣化、排水性の悪化などを進めてしまうことになる。
(4)毒素説あるいは排泄物説
排泄をするものは、動物のみではなくて、実は植物も根からかなりの排泄物を出します。これは、生理現象として植物体内の養分吸収の終わったものを対外に出すという目的と、もう一つにはアレロパシーとしてのとらえ方があります。ある植物の出す物質が他の種類の植物の生育を阻害する場合と、自家中毒作用として自分自身の生育に害する場合がありますが、連作によるものは自家中毒ということになるわけです。
(5)土壌微生物説
作物の根の影響を土壌が受ける範囲を根圏といいますが、この根圏域では、他と違いものすごく微生物の数や種類が多いのです。そこで、同一作物を栽培してしまうと、その土壌中の微生物相が片寄ってくるということとなり、微生物相の片寄りは病原菌の異常繁殖にも結びつくことでもあり、また線虫類の特定の種類が増えてしまうことでもあり、根からの分泌物が連作により同一であり続けるとその悪循環を助長することにもなります。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
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