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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

小久保英次さん(愛知県渥美町)の場合

ナゼ連作障害が出ないのか

 以上のような考えに基づいて今回の調査訪問先に第一歩を踏み入れてみましょう。

 渥美半島、そこは愛知県の南に位置するところで、施設園芸を中心として菊やメロンの栽培が盛んですが、露地のキャベツも名高い。

 そんな中で、古い産地の歴史を持ちながら、連作障害が発生しにくい一帯があると聞き、今回の土壌調査となりました。 

 キャベツというアブラナ科の作物は、先に述べた特定産地育成事業により各地に大型産地が形成されていますが、いずれも根こぶ病を始めとして土壌病害に悩まされています。

 今回の愛知県渥美半島先端の西山地区は、かつて海流が運んだと考えられる燎(これは直径が2~3mmのものから2~3cmのものまでですが、中心は5mm程度のものと判断しました)の層がずっと深くあり、まさにザルの状態でした。

 ここでの訪問先の小久保さんの畑も、こうした燎土地帯の中にありました。

 磯土とは、2mm以上のものを土壌学では燎というのですが、これが含まれる割合が50%以上ということです。

 元々が、このような極端な壕土ですから、腐食も粘土鉱物も含まれていないぐらい少ないのですから、そこにこの地区の人達は、畜産堆肥を入れてきたということです。

 そして、群馬県のつま恋と同じような歴史をもちながら、連作障害の程度が弱いのはなぜだろうというこですが、そのポイントはザル状の畑にありそうです。

 もう少し詳しく細かく考察していくために先に説明した5つの連作障害の要因として考えられているものを整理しながら、この現象を見ていきます。

 まず、土壌養分の消耗についてですが、施す肥料には特別の工夫はしていないようです。しかし、下層の感じと上層の色あいやてざわり等の極端な違いは何かというと、長年施している堆肥によるものであることがよくわかりました。

 この有機物の分解による溶出成分はキャベツの要求する成分のかなりのものを与えることができ、また根圏域の土壌微生物相についても連作条件下で、その相を片寄らせない働きをしていると考えられます。

 土壌反応悪化についても、腐植の緩衝作用により、化学性を良好に保っていると思います。

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