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耕すということ

土層・土壌改良雑感(2)

化学性が改善されないと植生はよくならない

 現地に行って担当者の話しを聞き、テスト圃場を見せて貰った。また、土壌断面を調査してみると、下層は複雑な層をなしている。地域によってその性状も大きく異なる。これで何故、第二層と第三層を1対1に混合して、40~50%も増収するのかどうしても理解できなかった。テスト圃場も大きな生育差は認められないのである。

 第二層と第三層を1対1に混合すると透排水性がよくなるので、それで増収するのだと説明された。確かに第三層の構造が第二層と異なるので、混合すれば、透排水はよくなる場所もあるのであろう。しかし、第二層、第三層共に化学性は劣悪である。物理性は改善されても化学性が改善されない限り、がよくなるとは思えない。これは心土肥培耕プラウの開発の経験から言えることである。北海道の場合、先ず心土耕プラウで深耕し、摯底盤を破砕することによって増収はしたが、それは、透排水性の改善のみによってもたらされたものではない。一般産業が発達し、化学肥料も豊富に使える時代になっていたことの相乗作用によるものである。

 深耕、化学肥料の増投によって増収し、低温障害などにも抵抗性を増し、生育は安定するようになったが、それはその前の馬耕時代に比較して改善されたことであり、未だ本格的なものではなかった。

 やがて、心土肥培耕プラウが開発され、下層の化学性が改善されると、作物の根は下層に広く伸びて、生育は旺盛になり、より安定して、さらに増収したのである。硬盤を破砕することによって、根圏域を拡大することはできるが、根の伸長は僅かのものである。これに化学性が改善されて、それは驚く程の深い根の分布となるのである。その根は、腐食し、新しい水道となって、持続的に透排水性を良好にするものである。

 日本にサンプル土壌を持ち帰り分析してみると、下層土の化学性は北海道のものより劣悪である。しかも第三層の土性は共通して重粘土であり、地域によって性状が大きく異なる。第二層と組織に違いがあるので、場所によって第二層と混合することは、透排水性の改善に効果的であるとしても、普遍的なものではない。ここはやはり心土破砕と化学性の改善を優先すべきと考えた。

 心土肥培耕プラウを用いるのがもっとも効果的であると判断したが、残念ながら、中国は日本のように土壌改良資材が自在に調達できて、気楽に使える環境にはない。さて、どうするかである。

 第二層と第三層を混合することについては、中国側の成績を尊重するにしても、第三層が複雑で、同じ圃場でも内容が変わる程であることから、あまり多くを期待すべきではない、と先ず説得をする。

 北海道の心土反転客土耕プラウは良質な第三層を作土に混合するものであったが、60cm以上の深耕であることから大きな動力源を必要とし、それが大きな負担であったこと、この場合も第二層の作土への混合は避けられず、土壌改良資材をかなり使用したこと、その土壌改良資材にも政府は二分の一の助成をしたことなどを話した。

 第二層の白漿土の原土は、長年の踏圧による硬化で不透水層を形成していることから、先ずこれを破砕することが先決であり、加えて破砕の持続性を高めるために、有機質に富む作土の一部を破砕した部分に差し込むようにする改良心土耕プラウの開発を提案する。

 この場合でも、サブソイラをあまり大きくはしない。その理由は、作土の下に第二層が破砕で大きく盛り上がることは、当年度はよいとしても、次年度のプラウ耕の時に作土に反転・混合されて、作土の化学性を悪化させ、植生を不良にしてしまう懸念があるためである。

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