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土門「辛」聞

脱・自給率向上で補助金大整理スタート

先日、旧知の農水官僚がいささか挑発的な議論を吹っかけてきた。食料自給率にこだわらずという、おやっと思わせるような内容だった。「自給率アップにこだわっている限り、農政の方向を見誤るよ」その官僚氏はこう続けてきた。

 先日、旧知の農水官僚がいささか挑発的な議論を吹っかけてきた。食料自給率にこだわらずという、おやっと思わせるような内容だった。

 「自給率アップにこだわっている限り、農政の方向を見誤るよ」

 その官僚氏はこう続けてきた。

 「だって生産構造がガラッと変わっているではありませんか。いま元気がいい生産者は、野菜や花などに目立つでしょう。大量に必要なバルキー(かさがある。大量の)なカロリーの高いものは、コメを除いて大半は輸入をしています。

 日本の農業は、単価が高く低カロリーの野菜、あるいはカロリーとは関係のない花へシフトしていて、単価が低くバルキーな穀物などは、コメを除いて重量ベースで7割以上が輸入に頼っているのです。こんな食料事情ではカロリーベースで自給率が高くなることはないんです。

 その現実をしっかりと見定めると、何もむやみやたらに自給率を向上させることはないし、それを農政の基本政策にしたら政策を誤る」


数値目標を決定したものの生産構造変えず未達に

 何やら意味深な話ではある。これまでは「食料自給率向上・命」でやってきた農水官僚からすれば180度転換のように思えてならない。

 そこで「これは省内の一致した見解ですか」と尋ねてみると、「ハイ、少なくとも改革派官僚の間では」との答えが戻ってきた。

 日本の農業の基本方向を示す「食料・農業・農村基本法」が施行されたのはいまから5年前のこと。農水省が法案を国会に提出して、いよいよ成立という段階になって、共産党を除く与野党が「食料自給率に数値目標を設定せよ」という注文を付けたことがあった。そのバックには農業団体の存在があったことは改めて指摘するまでもない。

 それに応じて政府は、食料・農業・農村基本計画の中で、2010年度の食料自給率の目標を45%(供給カロリーベース)とする数値目標を閣議決定したという経緯があった。ご丁寧なことに、数値目標達成のため当時の首相(故小渕恵三氏)が本部長、官房長官と農水相が副本部長に付き、法務大臣を除く閣僚を本部員とする「食料・農業・農村政策推進本部」(事務局・農水省)まで設置した。

 このニュースを新聞で読んで思ったことは、この国は計画経済の社会主義国とあまり変わらないということだった。こんな数値がいとも簡単に達成されるようであれば、社会主義国の農業はバラ色になったはずである。言葉は悪いが、よくもこんな不毛な数値目標に、大げさな本部を設けて、肝心の生産構造を変える施策も出さずに、よくも不毛な取り組みをやるものだと呆れかえったが、筆者の予想通り数値目標は達成されずの結果と相成った。

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