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編集長インタビュー

「フードシステム」という視点から農業、資材産業を見直そう

新たな局面を迎えた日本の農業。今回は2004年3月末に発売された「農業資材産業の展望」(農林統計会)の編集・執筆責任者である斎藤氏にインタビューした。同氏は、アグリフードシステムという視点に立ち、特に農業・農サイドの経営主体のありようを研究し、多くの農業生産法人の顧問を務めている。機械や資材、そして農業経営がマーケットと連動していくことの可能性と問題点についてお話しいただいた。

民生的役割を果たした70年代の農業機械


昆吉則 先生は「フードシステム」という視点で農業を見つめておられます。同時に、農業経済や経営を研究された方としては農業資材の業界やその技術の持つ社会・歴史的意味に踏み込まれた稀有の研究者でもあります。

斎藤修 私はもともと農業経営学の出身です。農業経営を動かすのは、農業経営者はもちろんですが、食品産業とリンクしていかないと思い切ったことが出来ないということで、マーケティングに関心がありました。もう一つは「アグリビジネス」。生産力を作っていくのは農家だけではなく、基本的には資材産業が農家とリンクして始めて生産力が出来ていくという認識です。しかし、当時の学会では「それは良くない」と言われました。資本の論理に入っていくという考え方なのですね。

昆 稲作機械化が始まるのは1970年前後からですが、その当時、「機械化貧乏」なんて言葉を皆が使っていました。農業収支からみれば過剰投資であることは事実ですが、それで農家や農村は豊かになりました。主婦が電化製品によって家事から解放されたように、農業機械に限らず農薬や化学肥料の導入は、“農家を農業から解放し”、農家の暮らしを豊かに変えていきました。北海道の場合は少し意味合いが違いますが、農業機械化とは産業機械化というより民生機械化だったと言えます。その意味で、農機産業は大変な役割を果たしました。

斎藤 さすがに今では兼業が悪いという議論はだいぶ消えたと思いますが、そういうイメージは東北に多いようです。でも、民生機械と置き換える話は私も同感です。

昆 確かにそれはそれで良かったのですが、今、産業としての農業の発展やフードシステムの中で農業を考えた時、機械・資材産業には新しい役割や業界自身の活路というものも考えられるのではないでしょうか。

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