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今年の市場相場を読む

ナベ物野菜の流通を見直す定番品の背景をチェックする シュンギク・エノキダケ・ネギ・カイワレ

ナベ物のシーズンである。固定的な需要があるだけに、その生産動向には意外に無頓着なもの。野菜類は、生活必需品であるため毎日の生産、流通が惰性となりがち。しかし、これまでの需要や消費構造を前提にしていただけでは、市場の変化に迅速な対応が図れない。ナベ物野菜を中心に、その現状をチェックしてみよう。
シュンギク 食味重視の遠隔地出荷品が関東の品種を転換するか


【概況】

 シュンギクは、このコーナーでは2回目の登場だが、季節でもあり、また新しい動きも出ているので再掲する。いうまでもなくシュンギクは鍋物の定番野菜であり、冬場を中心とした需要が大きい。過去5年の東京市場での推移をみると、稲作転換などからの誘導もあり、傾向的には入荷が増加している。統計的には平成3年と7年の対比で、数量では 22%の増、単価は3割も安くなっている。平成3年は5164tの入荷でに同単価582円が、平成4年は入荷は2割増えて6225t、単価は暴落して35%安の383円となった。6年は、天候災害などの影響から入荷は8%減の5556tとなり、単価は2割高騰して538円だったが、7年は14%増の6310t、単価は25%安の406円という推移。増減と相場の高安を繰り返しているが、増大に対して単価の下落がそれほどでないのは安くなった分消費されている証拠である。

【背景】 

 従来、東京市場に対するシュンギクの主産地は関東の近郊産地と東北産地。軟弱物は地場が強いという典型的な品目である。前回にも触れたが、入荷増の背景には、関東各産地が過去数年来、園芸振興に力を入れ新興産地も増えていることだ。これだけの価格の変動かおりながら、意外に生産がしっかりしているのは近郊産地物の特色である。通常、遠隔産地ではこうはいかない。ところが、この常識を破る動きが出てきた。福岡県がこの地場野菜の牙城に攻め込んできたからだ。イチゴや小ネギ、サラダ菜、また紅タデのようなツマ物など典型的な軟弱物の遠隔地出荷のノウハウ蓄積してきた同県ならではのチャレンジだ。

【対応】

 福岡県の東京進攻は、その背景にシュンギクのような、クセの強い野菜が伸びているという情勢分析が背景にある。「博多なばな」の成功に味をしめての第二弾ともいうべき動きだ。さらに、従来から指摘されてきたことであるが、関東を中心とした、茎が太く、葉が小さくて薄い品種は、食味の点て物足りなさがあった。その点、福岡の「菊菜」は、九州地区の地域野菜として愛されている「広葉」タイプのもの。茎もやわらかい。いわゆる食味本位のシュンギクだということだ。この商材は関東地区の品種大転換の牛ツカケになる可能性がある。


エノキダケ 農協系と農業外系との競合で食味に対する見直しがカギに


【概況】

 エノキダケの過去5年の推移は、平成3年に少なかったが4年、5年と多く6年、7年とやや減って東京市場への入荷は年間1万2000t台である。3年と7年との対比では数量で7%の増、単価では2割安という数字になっているが、エノキダケの生産構造からすると従来の農協系と農業外資本系とのせめぎあいは今、重石盛りだ。

 需要的には、冬場を中心としたナベ需要によって月間1500t前後の入荷があるが、6~8月の夏場は600t台で半減以下。これでも10年前から比べれば、夏場の需要はかなり拡大した品目だ。

 産地でみると、王者長野がまだ6割以上のシェアを持つが、後を追う福岡、新潟に関しては工場生産系の成長が見られる。

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