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今年の市場相場を読む

ナベ物野菜の流通を見直す定番品の背景をチェックする シュンギク・エノキダケ・ネギ・カイワレ

【背景】

 エノキダケ生産は、従来の農協系に勢いが無くなっており、主産地・長野においても、農業外資本系が急成長して販売面で農協系をおひやかしているほか、農業外資本が従来の農協系の生産者を傘下に引き入れるといった現象もみられる。

 キノコ生産は全体的にこうした傾向が見られるのも、キノコ類は一部を除きほぽ工場生産的な生産体制を持ち、本来は計画生産が可能な品目でありながら、系統出荷という不安定要因を常に抱えてきたからである。これに対して、そうした系統販売の不安定さを克服した農業外資本からの浸食が激しいのは、需要側への食い込みの差が明確だからだ。

【対応】

 生シイタケ同様に、周年の一般家庭需要をしっかり定着させたエノキダケはすでに成熟商品になっている。そのため、これからの消費拡大は、戦略・戦術の如何にかかっているといえる。その意味では従来の100gタイプだけでなく200gなどの大型パック物や、常時特売体制に沿える生産対策、価格戦略などを展開しているのは、その一環。また、鮮度強調のために、栽培ポットからの’もぎとり‘企画などを行うのもまたいいアイデアだ。残るは「食味」問題。エノキダケもどの産地、メーカーも食味は同じ。しかし、仮に「収穫時の鮮度」が保持できたら、あきらかに食味は違ってくる。例えば、収穫したてのものは、パキパ牛とした歯ごたえがあり、根部の臭いもない。この状態で消費者に届けば、エノキダケのイメージはまた変わる。品種では、黄色系の復活だろう。


ネギ 入荷減高と入荷増安の繰り返し 新興産地は品質と用途で対応を


【概況】 

 ネギは、過去5年の推移をみると平成3年から5年までの3年間は拡大基調できたが、6年に2割近くの数量激減となり、5割以上も高くなった。近年における大きな’事件‘ である。ネギすなわち白ネギは、東京市場において平成4年の10月ごろから、翌5年の5月ごろまで大低迷の市況が続いた。8ヶ月も続いたこの低迷で、翌年の同月は軒並み数量は激減し、単価は高騰したのである。

 この’異変‘の原因は、実ははっきりしているのである。平成3年の秋に日本列島を縦断した台風の影響だ。同年10月、11月のネギの単価はキロ400円をはるかに突破する、近年にない暴騰を見せたのだ。かつてない低迷が翌年の10月から始まったのだから、みごとに符合するのである。

【背景】 

 秋から冬にかけて白ネギは最需要期であるため、台風で数量が激減した3年の秋には暴騰した。産地は、この暴騰が台風という不可抗力によるものだとは知リつつも、翌4年には作付けを増やした。通常の年なら、需要期の若干の数量増ならそれほど低迷することはないのだが、4年は、年間通して気象災害が全くない豊作型の年であり、しかも青果業界にもバブル経済崩壊の影響をモロに受けて、業務用需要がまた極端に落ち込んだ年。豊作と需要落ち込みでこれまたキロ100円台という暴落商状に見舞われるのである。だから増加・暴落の翌年は減少・暴騰、暴騰・減少の翌年は増加・暴落というパターンは、平成6年の5月まで続いたのである。極め付きは、平成6年の3月。前年の半分近くまで減って、単価はキロ1153円という信じられない相場となった。

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