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【今年の市場相場を読む】
ナベ物野菜の流通を見直す定番品の背景をチェックする シュンギク・エノキダケ・ネギ・カイワレ
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第16回 1996年12月01日
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【対応】
ネギのまともな動きは、ようやく平成7年になって現れた。東京市場で年間5万8000t程度。キロ単価250円弱である。その意味では、左のグラフの中で、3年~6年までの平均値より、平成7年の単年の動きこそ ’例年‘のパターンだと思ってほしい。各地で水田面積調整によってネギの導入が目立つ。新産地である場合、市場でその土地の新しさをアピールするのは白と青のコントラストが大きいことが条件。また小売店対策としては用途別の商品づくりなども必要。鍋物用(煮物)や薬味用(生食)またはコンビニ用など、入れ数や長さ太さを変えるなどだ。
【概況】
カイワレは、今年の場合はO-157騒動で、年の後半は入荷が激減し、単価も低迷した。しかもその後も、低迷基調は続いているが、この商材はすでに消費が定着しているだけに、時間はかかっても、消費は回復してくるものと考えていい。 過去5年の市場入荷動向を見ると、数量で2割強の減、単価は1割強安となっている。この種の比較統計は、過去5年における年ごとの増減、高安の波を無視しがちであるが、このカイワレだけは、この数量減と単価安は’絵に描いたように‘一定の傾向を示しており、年々減り、年々安くなっているのである。
また、比較的年間安定して入荷している品目ではあるが、月別で見ると冬場に需要が低く、夏に向かってピークを作り、秋に向けて減っていく夏需要パターンを持っている。ただし多い月と少ない月とでは2~3割程度の差しかない。
【背景】
カイワレはみごとに「成熟品目」で、市場の入荷減は、明らかに市場外流通が増加していることを意味している。その生産構造もすべてが農業外資本系に移行していることも大きな特徴。需要に基づいて計画生産し、業界も全体として需給調整を行っている。市場外すなわち量販店などとの直接取引が5割を超しているという推計値もある。卸売市場から育った’野菜品目‘であるが、現在では市場流通の必然性のない品目なのである。
【対応】
成熟商品はその生産安定性には確かに優位な点もあるが、一方では消費の頭打ちという状況に到達しているということであリ次のステップが待たれる。カイワレの消費定着で水耕栽培のトウミョウなども消費者に抵抗なく受け入れられる状況を作っているがソバモヤシや米モヤシなど、かつて期待されながらも消えていった差別化商品に再脚光の素地が生まれていることも事実である。カイワレのように手軽で単価も安く、いつでも買える商品のバラエティーを増やすのが次のステップ。 また、モヤシがそうであったように、原料や品質での差別化の道もある。カイワレに「辛味」を求める消費者のために「ドライ」と「マイルド」タイプを設ける。栄養価を求める消費者には、水耕栽培の利点を生かして「ビタミン増強」「ミネラル増強」等のタイプも欲しい。
ネギのまともな動きは、ようやく平成7年になって現れた。東京市場で年間5万8000t程度。キロ単価250円弱である。その意味では、左のグラフの中で、3年~6年までの平均値より、平成7年の単年の動きこそ ’例年‘のパターンだと思ってほしい。各地で水田面積調整によってネギの導入が目立つ。新産地である場合、市場でその土地の新しさをアピールするのは白と青のコントラストが大きいことが条件。また小売店対策としては用途別の商品づくりなども必要。鍋物用(煮物)や薬味用(生食)またはコンビニ用など、入れ数や長さ太さを変えるなどだ。
カイワレ すっかり大衆化した成熟商品 差別化商品で新たな消費拡大
【概況】
カイワレは、今年の場合はO-157騒動で、年の後半は入荷が激減し、単価も低迷した。しかもその後も、低迷基調は続いているが、この商材はすでに消費が定着しているだけに、時間はかかっても、消費は回復してくるものと考えていい。 過去5年の市場入荷動向を見ると、数量で2割強の減、単価は1割強安となっている。この種の比較統計は、過去5年における年ごとの増減、高安の波を無視しがちであるが、このカイワレだけは、この数量減と単価安は’絵に描いたように‘一定の傾向を示しており、年々減り、年々安くなっているのである。
また、比較的年間安定して入荷している品目ではあるが、月別で見ると冬場に需要が低く、夏に向かってピークを作り、秋に向けて減っていく夏需要パターンを持っている。ただし多い月と少ない月とでは2~3割程度の差しかない。
【背景】
カイワレはみごとに「成熟品目」で、市場の入荷減は、明らかに市場外流通が増加していることを意味している。その生産構造もすべてが農業外資本系に移行していることも大きな特徴。需要に基づいて計画生産し、業界も全体として需給調整を行っている。市場外すなわち量販店などとの直接取引が5割を超しているという推計値もある。卸売市場から育った’野菜品目‘であるが、現在では市場流通の必然性のない品目なのである。
【対応】
成熟商品はその生産安定性には確かに優位な点もあるが、一方では消費の頭打ちという状況に到達しているということであリ次のステップが待たれる。カイワレの消費定着で水耕栽培のトウミョウなども消費者に抵抗なく受け入れられる状況を作っているがソバモヤシや米モヤシなど、かつて期待されながらも消えていった差別化商品に再脚光の素地が生まれていることも事実である。カイワレのように手軽で単価も安く、いつでも買える商品のバラエティーを増やすのが次のステップ。 また、モヤシがそうであったように、原料や品質での差別化の道もある。カイワレに「辛味」を求める消費者のために「ドライ」と「マイルド」タイプを設ける。栄養価を求める消費者には、水耕栽培の利点を生かして「ビタミン増強」「ミネラル増強」等のタイプも欲しい。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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