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どうなる!どうする?こんなとき

<拡大版>農基法改正の狙いは何か

 Q:新しい農基法はどのようなものであるべきだと思われますか。

 A:そもそも何のために新しい基本法が必要であるかという国民の合意が必要ではないでしょうか。それにはいまの農政をもう1度原点仁戻って整理してみるべきではないでしょうか。まず中国の急激な経済成長で穀物需要が逼迫しました。食料の大半を海外に頼るわが国は食料の安定供給が果たして可能かどうか。誰しも心配するところです。また農業には食料生産だけでなく国土保全など多面的な役割も期待されています。それを国民はどう評価しているのか。価格の問題もありますね。輸入の増加を招いた内外価格差を縮小しつつ、消費者の安全・健康ニーズに沿った農業生産はどこまで可能か。大いに議論が待たれるところですね。

 Q:本誌の愛読者である専業農業者にはどのようなインパクトがあるでしょうか。

 A:農水省の若手官僚の考え方は、後継者不足など日本農業の現状を心配していますから、本心は専業農業経営者に軸足を置いた農基法の策定を目指したいところですが、そういうことは政治が簡単に認めないと思いますね。

 Q:それは具体的にはどういう点ですか。

 A:例えば、国民に問うポイントには「内外価格差縮小の観点から、農産物の価格決定を市場にゆだねること」とあります。これを実現するには、農業分野における規制緩和や米市場の開放をいっそう押し進めなければなりません。農業者が反発を強めることは必至でしょう。自民党農政族は「農家保護を覆すような議論はできない」と、早くも新しい農基法に牽制球をぶつけてきています。

 Q:それで報告の指摘だけで十分ですか。

 A:ウーン、肝心な点を落としているのではないでしょうか。

 Q:それは何ですか。

 A:農地の問題ですよ。現行農地法では農業の構造改革は絶対に無理ですからね。本誌の読者なら、くどくど説明しなくともおわかりいただけるでしょう。現行農地法を簡潔に整理すれば、農地所有者の権利を手厚く擁護した結果、新規就農を妨げることになっています。この農地法を抜本改革しなければ、どんな立派な作文を並べても絵に描いた餅にすぎません。

 Q:それで報告は農地に関してどう書いてありますか。

 A:報告書の36頁に「農地の流動化のための法的枠組みについては、これまでにほぼ体系的に整備されたと考えられる。しかし、今後、農地の流動化の一層の加速が課題となる中で、現在の法体系を含め、農地の流動化施策のあり方については十分な検討が必要がある」との簡単な記述があります。

 Q:それはどういう意味ですか。

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