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【江刺の稲】
高橋がなり氏のこと
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第127回 2006年09月01日
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まずは裏表紙をご覧いただきたい。本稿執筆時点では、その内容はわからないが、ユニークな広告が掲載されているはずだ。元ソフト・オン・デマンド社長の高橋がなり氏が今年4月に立ち上げた、国立ファームの広告である。
「高橋がなり」といっても、ご存じない方も多いだろう。1995年に自ら設立したアダルトビデオ製作会社ソフト・オン・デマンドを100億円企業に育て上げ、AV業界を「産業化」した、と言うべき人物である。そのがなり氏が、自らの人生の甲斐を求めるかのように農業に取り組もうとしている。
実際、がなり氏にお目にかかり、その謙虚で、しかも生きる好奇心に満ちた人柄に感銘した。こんな人物こそが農業や農業経営を変えていくのではあるまいか。がなり氏のビジネスマンとしての能力だけでなく、同氏の持つ「教育力」が農業界に、とりわけ農業を目指す若者には何物かを与えるだろう。
がなり氏には失礼だが、つい先日まで存じ上げなかった。知ろうとしなかったと言う方が正確だ。
実は、本誌スタッフには以前から同氏の取材を提案されていた。アダルトビデオ製作をきっかけに事業的成功を収めただけでなく、テレビやウェブ上で若者の支持を受けている同氏が、突如、農業に取り組むと宣言し、その世界から退場したという報告とともに。
しかし、満足にそれに取り合わなかった。どうせ、遊びだろ、と。それ以上に、「アダルトビデオ屋」という先入観から、真っ当に見ようとしなかったわけだ。
日頃、農家や農業関係者を含めて、人々が持つ農業への先入観から自由になること、囚われた思考に支配されることのバカバカしさ語っているつもりなのに、自らがその落とし穴にはまってしまった(そもそも、僕だって旅先でホテルに泊まればお世話になっているじゃないか……)。
そんな人物が農業に思い入れしているというのなら、「面白いぞ!取材してこい」というのが本誌のはずではないか。まったくもうろくしたものだ。
「高橋がなり」といっても、ご存じない方も多いだろう。1995年に自ら設立したアダルトビデオ製作会社ソフト・オン・デマンドを100億円企業に育て上げ、AV業界を「産業化」した、と言うべき人物である。そのがなり氏が、自らの人生の甲斐を求めるかのように農業に取り組もうとしている。
実際、がなり氏にお目にかかり、その謙虚で、しかも生きる好奇心に満ちた人柄に感銘した。こんな人物こそが農業や農業経営を変えていくのではあるまいか。がなり氏のビジネスマンとしての能力だけでなく、同氏の持つ「教育力」が農業界に、とりわけ農業を目指す若者には何物かを与えるだろう。
がなり氏には失礼だが、つい先日まで存じ上げなかった。知ろうとしなかったと言う方が正確だ。
実は、本誌スタッフには以前から同氏の取材を提案されていた。アダルトビデオ製作をきっかけに事業的成功を収めただけでなく、テレビやウェブ上で若者の支持を受けている同氏が、突如、農業に取り組むと宣言し、その世界から退場したという報告とともに。
しかし、満足にそれに取り合わなかった。どうせ、遊びだろ、と。それ以上に、「アダルトビデオ屋」という先入観から、真っ当に見ようとしなかったわけだ。
日頃、農家や農業関係者を含めて、人々が持つ農業への先入観から自由になること、囚われた思考に支配されることのバカバカしさ語っているつもりなのに、自らがその落とし穴にはまってしまった(そもそも、僕だって旅先でホテルに泊まればお世話になっているじゃないか……)。
そんな人物が農業に思い入れしているというのなら、「面白いぞ!取材してこい」というのが本誌のはずではないか。まったくもうろくしたものだ。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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