記事閲覧
【江刺の稲】
「農業集落」という幻想
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第135回 2007年06月01日
- この記事をPDFで読む
「農業集落」という幻想
声の大きな地域リーダーに言われて始まるのが、集落営農組織であろう。集落の住民一人ひとりに訊ねてみれば、組織に参加する人もそうでない人も、その思いは様々であるはずだ。
「経営所得安定対策等大綱」(平成17年10月)策定の折に、一定の要件を備えた集落営農組織も担い手として直接支払いその他の対象として認めることになった。農協組織のごり押しによってそれが出てきたことも、よく知られていることだ。
集落営農だからいけないなどというつもりはない。担い手政策の対象になるために、その経営当事者の能力や経営展望もないままの集落営農の組織化を進めたり、その組織化によって、実績を持つ経営者が農地を失うようなことが生じることは、日本農業の発展にとって望ましいのか。農業の背景にある風土や文化を生かす農業経営の事業モデルはあり得ても、今という時代に、あえて「集落」を前提とした農業経営の推進を言う必要はあるのか。
会員の方はここからログイン
昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)