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読み切り

農家・JAにとって市場制度の変革は何を意味するか

ポイントと見直し制度



卸売市場の整備の中心は中核的な拠点市場の再整備に移行する

 ほぼ全国的に市場整備は一巡したが、過密化した大都市市場や地方都市の市場を新しくし、また遅れていた花き市場も整備を促進していくということである。花き類の振興の受け皿で、花き市場の整備は歓迎である。また、これまで産地団体は、ともすれば大都市中心の出荷がメインであったが、最近では、女性やシルバーパワーの受け皿、稲作からの面積調整で地域園芸振興のために、地域市場の機能の強化が求められている。こうした方向にも沿ったものと解釈できる。


取引の多様化に対応してルールを見直していく

 これまでの「セリ上げ」方式は、生産者側からすると高値が出やすいように思われる。これに対して関西市場などの「入札」方式はセリ上げに比べると極端な相場の変動は少ない。では、「セリ下げ」方式はどうなるのだろう。現在、出荷団体は出荷に対して、産地希望価格を提示するのが常である。この「産地希望価格」に近づけるためには、セリ上げよりセリ下げの方が効果的だといわれる。ヨーロッパの産地市場でのセリは、すべてセリ下げ方式であり、これに生産者「指し値」が組み合わされている。生産者は自分が納得した価格でしか売らない仕組みだ。制度的にはまだなじみがないが、生産者の立場からも推奨できるセリ方式であろう。


一括全量上場(入荷したものをすべてその日の内に上場すること)のルールが中心だが、「一括上場、分割販売」(入荷したものを一括上場するが、状況に応じて値決めをしていく)の方式も導入する

 即日全量上場で一括してセリにかけるということは生産者にとっては“安心”だが、一方では、大量に上場すれば明らかに価格が暴落する、という状況はある。これを、一括して上場するものの情勢次第で販売していく、という柔軟な対応をしていくことは必要。ただし、生産側との綿密な連携を前提としなければならないことはいうまでもない。


セリ取引と相対取引との垣根を緩和し状況に応じて相互に乗り入れる

 これは現在でも、「残品相対」という取引慣行がある。セリで残品が出た場合に、事後承諾の形で相対販売してすべて消化してしまう方法だ。ただしこの場合、出荷者側にはセリ販売としてしか報告されない。これをルール化すること。さらに、逆の場合、すなわち相対品目(買い手が限定されている特殊な品目など)に、買い手が殺到した場合などはこれをセリに切り換えて、相場の成り行きで価格を決めるということ。ともに生産者の不利にならず、取り引きが効率化する方法だ。

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