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2.微生物剤の効果アップ
(1)ボトキラーは散布では効果が出にくい場合もあったが、暖房機を利用したダクト散布の普及により急激に利用が増加。灰色カビ病などを安定的に抑止できるようになった。
(2)微生物剤は散布回数が3回以上ないと安定的な効果が得られにくいことが判明。一週間ごとに3回以上の散布によりコナジラミの防除が可能になった。このほか、天敵昆虫については、当初は防除不可能と思われていた冬季のイチゴのハダニ防除にミヤコカブリダニ(スパイカル)が0度以下の環境でも生存し、かつ捕食することがわかり、イチゴのハダニ防除にチリカブリダニとともに極めて安定的な効果を提供できることが判明してきた。
ところで、現在、天敵昆虫の利用面積はまだ施設栽培面積の2%程度だが、生物防除を使える環境は整いつつあり、花卉類も含め利用の幅が広がっている。将来的には、施設栽培での害虫防除はヨーロッパの先進国のように生物防除が主となるのは確実だろう。効果安定性、抵抗性の少なさ、利用する際の環境アメニティの高さなど、その長所は数多くある。防除コストからみても、すでに西日本のいくつかの農協レベルでの統計では、以前の防除コストに比べトータルで生物防除に軍配が上がっていることが明らかになっている。今後、生物防除の方向は果樹、水稲などの野外の作物へ広がっていこう。すでに果樹のハダニではミヤコカブリダニが、水稲ではスブチルス菌などが登録され利用が始まっている。これはオーガニック農家向けではなく、一般農家向けの話である。
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和田哲夫 ワダテツオ
アリスタライフサイエンス(株)
1952年生まれ、東京大学農学部農芸化学科卒。日本での天敵資材の開発・普及の第一人者。著者に『マツハナバチの世界』(日本植物防疫協会)、『天敵戦争への誘い』(誠文堂新光社)など。
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