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【世界の農業機械・資材トレンド】
オランダ、アメリカ、オーストラリア、南アフリカ
- 編集部
- 2006年06月01日
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オランダ ベール作りでは少は美なり
世界のほかの地域と同様に、農場経営規模の拡大はオランダでも進行している。しかし、小規模農家のすべてがなくなりかけているわけではない。大規模農家とは違う経営手法で存続している。こういった農家が経営する面積は小さく、その多くは兼業農家であるため農作業の時間は限られている。
こうした小規模農家や牧場主が扱える農機具の大きさには限界があり、よく問題とされる。給餌や寝わらにはベールが必要だが、大型のベーらを使ってのベール作りは始めから選択肢に入らない。
ハーレ市周辺で農作業の請負業をしているユニコム・オースト社ではこの点に着目した。同社では、日本のスター農機社製の小型ラウンドベーラの後ろに、小型のベールラッパをつなげて作動させる。
オースト社が作るラウンドベールは扱いやすい大きさで、圃場で手押し車に載せて搬送でき、手で押して転がすこともできる。円の面の直径は90cm、幅は85cm。ベール材質となる作物の密度と湿度によって変わるが、重量はおよそ75kgから100kg。
スター農機社製のベーラ本体は、オランダのアイバーヘン市にある「R.T.e.L社」がヨーロッパに輸入している。オプションとして切断刃を選択でき、価格は3万8750ユーロ(約560万円)。
アメリカ 水浸しの圃場での究極の解決策
米国・ペンシルベニア州ゲティスバーグ市にあるメイソン・ディクソン農場では、技術面での解決策の考案も日常的業務の一つとなっている。一例として、水浸しの圃場で牧草を運搬するという課題をどのように克服したか紹介する。
経営陣がまず試したのは、クラース社の「ジャガー」フォーレジハーベスタに、足回りをクローラに変えた改造トレーラを連結させての運転だった。「踏圧はおよそ0.42kg/平方センチメートルで、人間の足裏の踏圧とほぼ同じだ」と、同農場のリチャード・ウェイブライト氏は説明する。
クローラは圃場では高性能を発揮するものの、長さ12mあるトレーラを道路上で牽引するのには問題があった。農場の技術担当者は、再び製図板に向かうことになった。その結果出来あがったのが写真にある機体一式だ。
これが究極の解決策だとメイソン・ディクソン農場では考えている。フォーレージハーベスタがトレーラのコンテナを満杯にすると、ハサミのように中央の支点で2本の棒が交差する構造をもった仕掛けでコンテナを持ち上げ、足回りのクローラの付いた車台と分離させる。すると、フォーレージハーベスタがコンテナの下からクローラの車台を引き抜く。さらに、普通トラックが今度は車輪の付いたシャーシをコンテナ下部に戻し、重さ30トンの積荷を保管場所まで運搬する。満杯のコンテナから空のコンテナへとフォーレージハーベスタが連結先を換えるのは約50秒で済むという。ウェイブライト氏は「ここで開発した農機具を自分たちで製造していこうとは思わない。だが、試作品を作りその設計アイデアをメーカーと共有できたなら、皆が利益を得るとわかった」と話す。トレーラの車台交換のアイデアも、メーカーとの共同開発が十分実現しうるケースだ。
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