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【津軽・黄金崎農業通信】
やはり、子供達が後を継ぐと言うのが嬉しい私たちです
- (有)サンアップル醸造ジャパン 社長 木村慎一
- 第6回 1997年02月01日
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若者達が生き生きと機械整備
1月下旬、青森県の最も西部に位置している深浦町にある当農場の畑は一面雪野原です。例年は北西の風が強く、雪は畑を飛んでいくためところどころ地肌が見えるのですが、今年は風の弱い日が多く、雪はそのまま降り積もり、すべて一面の銀世界です。その雪のキャンパスの上に、うさぎやきじがときたま姿を見せます。
もちろん、雪に覆われた畑では、作業は全くありません。室内での機械の整備と、ダイコンの加工が、この時期の中心作業です。
ダイコンは、16cm用と一口用にカットする作業を行っています。ダイコンの製品メーカーが袋詰めする一歩手前の作業を請け負っているのです。いわば一・五次加工ともいえる仕事をしていることになるでしょうか。この作業が近年増えてきたために、かっては1月から2月にかけて休ませたパートの人達は、1日交替とはいうものの、この冬場も農場にきてもらっています。
8年産ダイコンは、現在(1月中旬)一次貯蔵量で約800tの在庫があります。完売する予定ですが、売れる時期が遅れることは、資金繰りの面からは望ましくありません。このあたりが大型経営のむずかしいところです。
これまでの経験から、一時的に資金繰りが苦しくなるときがあります。それでも、いろんな工夫をして、乗り越えてきました。共に働いている社員やパートの人達の給料の遅延は起こしたことがないというのは、ちょっぴり自慢できることです。
8年の売上は5億円ぐらいと見込んでいますが、これだけの収入がコスト、人件費にあっという間に吸い取られてしまうのです。経理感覚に優れた人材が必要なのはいうまでもありません。
加工ダイコンと並ぶ冬の作業の主体は、機械の整備です。農場には、今、トラクター16台、大型トラック2台、小型トラック3台、送迎用バス3台、作業バン車3台、コンバイン4台、ポテトハーベスタ5台、ブームスプレーヤ3台、ブルドーザ2台などの農業機械があります。これら数多くの農業機械すべてを修理、整備してしまうのです。夏場、無理させて、あるいは少しぐらいの不備をがまんして使った機械は、特に念入りにオーバーホールして、完璧に整備し上げます。
社員の男たちは、この時期全員、機械整備工といっても過言ではありません。この整備が、春から秋にかけての畑での作業効率、ひいては、農場経営にも大きく影響するだけに、整備に従事している彼らの目付きは真剣そのものです。
機械の改造も行っています。機械がより作業効率を高められるよう、ディスカッションしながら、少しずつ改良を加えるのです。例えば、ダイコンの種まき機にうね立て機能をつけたりしているのです。機械をいじっている若者たちの腕はなかなか見事なものです。整備もするし、使いこなせもする、それが農場マンという気がします。
家族経営には、この機械の整備という経営感覚が、少し足りないのでは、と思いますが、いかがでしょうか。
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木村慎一 キムラシンイチ
(有)サンアップル醸造ジャパン
社長
1950年、青森県生まれ。4Hクラブの仲間とともに76年、農事組合法人黄金崎農場(現・⑭黄金崎農場)を設立。88年、青森県青年農業士会会長に就任。2001年、青森県農業経営士会会長に就任。05年、黄金崎農場を退社し、⑰サンアップル醸造ジャパンを設立。07年、ウクライナで大豆栽培に携わるも、11年に撤退。12年、ミャンマーとロシア(ウラジオストク)で農業指導に当たる。
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